ダークリリィ:ゲーマーの僕が有名ゲームキャラたちと同じ空間に詰め込まれた件について   作:バガン

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第207話

 「ま、そういうわけや。なんか思い出した?」

 「とりあえず、現状何が起こっているのかは・・・。」

 

 だが、それは本題ではない。遊馬は元の世界線に戻らなくてはならない。

 

 今の話で重要なのは、ここが遊馬にとって少し未来の時間であるということ。それも、元の世界のさらに元の世界の未来に近い。

 

 「いや、でも元の世界では引きこもりだったし・・・。」

 「引きこもり?」

 「いや、高校時代引きこもってた・・・ような気がするんだけど、そんな話はしてた?」

 「ううん、むしろ高校時代は相当アクティブだったらしいけど。」

 「アクティブ?」

 「文化祭とかめっちゃ張り切ってたって。」

 

 うん、もう別人だな。名前と設定が同じだからって、同一のキャラクターとは言えないのはメディアミックスされた作品のキャラクターにも言える。

 

 元の世界の事を忘れてこの世界でWooTuberとして生きていくのも悪くない、ともちょっとだけ思ったけどこっちはこっちで問題を抱えているようだ。

 

 (みんな今頃何してんだろうか。)

 

 今の状況の原因と思わしき、ゲーム世界の仲間たち。そもそもなにをどうやったのか?そこらへんの記憶もない。これもきっと半抜きバグの弊害なんだろう。

 

 「何考えてんの?」

 「人間の記憶のもろさ、不確かさについて。」

 「なにゆーてんねん。」

 

 凛世は怪訝そうな顔をするが遊馬は気にしない。これ以上情報を引き出せそうになさそうだが、さりとて邪険に扱うわけにもいかない。

 

 「今日はありがとう。」

 「ええで別に。ごはん用意してな。」

 「食べてくの?」

 「久しぶりに遊馬の腕見せてほしいなって。」

 

 お願い!と手を合わせて茶目っ気っぽく頼んでくる。

 

 「・・・最近料理してなかったから、自信ないけど。」

 「なにゆーてんねん、遊馬はいっつも奢ってくれてたで。」

 「本当に?」

 「自作の料理の試食とかしょっちゅうやってたで?」

 「そう・・・。」

 

 この世界の遊馬はそうだったのかもしれないが、遊馬は人に食べさせるような料理をしたことはあまりない。例外的に父にだけは作っておいて置いたが。

 

 「まあ、ちょっとちゃちゃっと作ってくるよ。」

 「OK楽しみにしてるで!」

 

 さーて、冷蔵庫には何が入っているかな。もう夕餉の時間なのであまり時間のかからない料理がいい。しかし冷蔵庫の中身は朝見た時と変わらずこざっぱりしている。

 

 「ふんふん・・・どうせなら肉料理がよかったけど。」

 

 白身魚と少しの野菜があった。痛んではいないようなので、バター醤油で焼いて野菜も付け合わせよう。

 

 「はい、おまたせ。」

 「おっ、キタキタ。ソテーやね。」

 

 あらかじめ用意していた炊飯器からご飯をよそうと、凛世の前にもってくる。

 

 「いただきまーす!あむっ。」

 「いただきます。」

 

 自分でも食べてみるが、まあ悪い味ではない。箸を突き立てればサクッと切れるし、口の中でホロッと崩れる。バターのうま味と醤油の塩っ辛さで白米が進む。

 

 「んー・・・。」

 「どうかな?変じゃない?」

 「変・・・ではないけど、いつもの味とちゃうね。」

 

 箸を持ったまま凛世は少し目を伏せる。

 

 「いつもはどうだった?」

 「ちょっと味つけが濃いかな?焼き加減ももうちょっと焦げ目がついてたかも。」

 

 味が濃いのは多分、一人暮らしの癖だと思う。それに焼き時間もちょっと短かったか。

 

 「ホンマに記憶無いねんな・・・。」

 「なんというか、ごめんね。」

 「ううん、ウチが悪いねん・・・。」

 

 にわかに食卓の空気が重くなってきた。湿っぽい空気にはメシがまずくなる。パッパッと遊馬は掻きこんで食事を終わらせる。

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