ダークリリィ:ゲーマーの僕が有名ゲームキャラたちと同じ空間に詰め込まれた件について   作:バガン

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第215話

 ぬるくなってきたお茶を淹れなおして、話題を仕切り直す。

 

 「正直、話をしていてそのゼミの人間と会う気になれない。」

 「でも会って話さないと何も解決せえへんよ?」

 「会って話して解決するんだったらこんな問題になってないわい。あぁ、なんか疲れてきた。」

 「ウチの方が疲れたわ。」

 「だろうね。お疲れ様。」

 

 これだから対人関係というのは煩わしいのだ。同じレベルの人間同士でないと、会話というのも成立しにくい。

 

 「埒が明かなくなってきたなぁ・・・いっそここでぶっ壊してみるか?」

 「何をぶっ壊す?」

 「うん、例えばさ・・・実は僕は記憶を失っているわけでではなくて。」

 「うんうん。」

 「並行世界から意識だけが転移してきて別の遊馬だって言ったら、信じる?」

 「わけわからんわ。」

 「だよねー、信じてくれるわけねーよねー。」

 

 子供でもそんな与太話信じないだろう。もしも信じる子供がいるなら、その純真さが心配になるレベル。

 

 「あーあ、もう夕方になっちゃったな。」

 「ホンマやなぁ、また無駄な一日を過ごしてもうたで・・・。」

 「どうする?また食べてくの?」

 「いや今日はウチが作るわ。」

 

 女の子の手料理にありつけるなんて、男子冥利に尽きるというもの。諸手を挙げて喜ぶべきところだろう。

 

 「はいどーぞ。」

 「ナニコレ。」

 

 およそ1時間後出てきたのは、疑問符も浮かばないナニモノカ。

 

 「大丈夫!味は保証するで!」

 「んーまあ、たしかに具材の味がちゃんと生かされてる。」

 

 一見するとオムレツのようなタマゴを焼いた料理のように見える。中身にタマネギ、アスパラ、ニンジンなどの野菜、それにベーコンやチーズが入っており触感や味に彩がある。それにどうやらタマゴに出汁やコンソメが入れてあり味も濃いめで、みそ汁と並んで白飯がどんどん進む。

 

 「たしかに、おいしいな。」

 「でしょう?」

 

 ただ見た目が壊滅的においしくなさそうだ。一回溢して拾い集めたような盛り方をされていては、これを『料理』と呼ぶことに遊馬には少々抵抗がある。

 

 「でも割としっかり野菜は切れてるし、火の通りも均一のようだし・・・うーん、なにが原因なのか。」

 「センスの問題かな。」

 「これは動画に乗せられないな。」

 

 動画に凛世が登場しない一番の理由はコレだろうな。この料理は人に出すには少々見栄えが悪い。料理は味わうだけでなく、見て楽しむ面もある。

 

 「例えばタマゴの溶き方にもやり方があって・・・。」

 「そういうところは変わっとらんのね遊馬。」

 「さっき別に記憶が無いわけじゃないって言ったろ。」

 「またそれ?」

 「マジなんだよ。昨日のソテーも、多分凛世好みの焼き方を知らなかっただけだと思う。肉料理なら自信あるよ、トンカツとか。」

 「トンカツねぇ、遊馬好きやもんな。」

 

 そういえば遊馬も創作料理が趣味だったが、最初のころはこういう味の濃いものを乱雑に作っていたな。自分に作る分には問題ないのだけれど、人のために作るならもうちょっと勉強したかもしれない。

 

 「人のためか・・・考えたことなかったな。」

 「ん?」

 「人のために料理したことってあんまりないなって。」

 

 そこが料理チャンネルを立ち上げた理由だったりするんだろうか。『人に見せるための料理』をする理由付けとかで。

 

 「なんなん、遊馬は記憶喪失なん?」

 「記憶喪失じゃなくて、並行世界から来たんだって。」

 「記憶喪失の方がマシなジョークやでそれ。」

 「マジなんだって。」

 「はいはい。」

 

 このオムレツを食べ切るころには、すっかりわだかまりが解けていたと思う。

 

 

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