ダークリリィ:ゲーマーの僕が有名ゲームキャラたちと同じ空間に詰め込まれた件について   作:バガン

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第220話

 「うっ・・・ん・・・・?」

 

 視線が地面に近い。遊馬は脳天が宙吊りにされているような感覚と共に目覚めた。どうやら、天地がさかさまになって、シートベルトに吊られている状態らしい。割れたフロントガラスの向こうには真っ白な霧の世界が広がっている。

 

 「凛世・・・?凛世?」

 「んっ・・・ううん・・・。」

 

 助手席に座っていたはずの凛世に声をかけると、小さく呻き声が返ってくる。

 

 「凛世無事?・・・あだっ!」

 「うわっ、なん、なんやこれ?」

 「いってて・・・。」

 「うわっ、何やってんの遊馬?」

 

 焦ってシートベルトを外した遊馬は天井に頭をぶつける隣で、凛世は状況が飲み込めずにオロオロとしている。

 

 「そうか、事故ったんか。」

 「とりあえず外に出ようか・・・。」

 「ここどこやろ?崖の下?」

 「外に出てみないとわからないよ。」

 

 ガソリンが漏れていたりすると引火の危険性もあるので、早くこの場を離れるべきだと遊馬は思った。しかし凛世はどこか要領を得ない様子で狼狽えている。

 

 「落ち着いてよ凛世。」 

 「こ、これが落ちついていられるか!」

 「あー、うん、そうだね。僕の方は落ち着きすぎだね。」

 

 正直、自分が意外なほどに冷静なことに驚いている。今まで散々ゲームの世界でも、現実世界でも危険に身を置いていたせいか、自動車事故程度では驚かなくなってしまったのか。車の運転もレベリオンの操縦の方が簡単なぐらいだった。

 

 「とにかく、今はここを離れよう?危険かもしれないから。」

 「う、うん・・・わっと!」

 「おっと。」

 「ちょっ、どこ触ってんねん!」

 「不可抗力!」

 

 遊馬と同じようにシートベルトを外して頭から落ちてくる凛世を受け止めるが、触った位置がよくなかった。こんな状況でもそんなことを気にすることができるなら、ある程度凛世にも余裕があるのだと思いたい。

 

 壊れたドアを外して、そこから這う這うの体で抜け出すと、夏にしては妙にヒンヤリとした空気が頬に刺さる。幸いなことに、2人とも怪我はしていないようだった。

 

 振り返ってみれば、車はひっくり返って無残な姿となって横たわっている。一見するとガソリンが漏れているような臭いもしない。

 

 「そうだ、カバンとっとこう。」

 

 後部座席に置かれた遊馬のショルダーバッグを引きずり出す。その間に凛世も落ち着きを取り戻して、どこかに電話をかけている。

 

 「アカン、電話繋がらへんでここ。」

 「落ちてきた崖を上るか・・・そうでなくとも繋がるところまで歩くしかないか。」

 「えー・・・なんでこんなことになるねん。」

 

 急に行き先に霧がかかって見えなくなってきていた。

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