ダークリリィ:ゲーマーの僕が有名ゲームキャラたちと同じ空間に詰め込まれた件について 作:バガン
推理をするにしても情報が少なすぎる。
「遊馬、もうここ離れへん?」
「もうちょっと調べたい。」
「何を?」
「そこの・・・。」
死体、と言いかけたところで口ごもる。もはや人間だったという原型を留めていないそれを、『死』そのものに耐性が無いだろう凛世が見たら発狂物だろう。遊馬はもっとひどい死骸をみたから慣れてしまったが。
(慣れたくはなかったけど。)
「遊馬?」
「僕の車の中から、何か使えそうなものが無いか調べてほしいんだけど。」
「使えそうなもの?」
「そうだな、発炎筒とか持ってきてくれる?目印になるだろうし。」
わかった。と腑に落ちた凛世が少し離れた位置でひっくり返っている乗ってきた車に行く。その間にクリーチャーが貪っていた跡を調べてみる。
「何か調べられるところは・・・。」
まず目についたのは、首筋についた傷のようなもの。傷ではなく、傷のような物と言ったのは、それが牙による噛み傷や爪による引っ掻き傷ではなく、真ん円な穴であるから。
「これは・・・僕の肩についてるのと同じ?」
違いと言えば大きさだけ。遊馬の物が小さな点なら、この死体のものは鉄パイプでも刺したような太さ。しかしこれにも血痕や流血の様子が見えない。
次にじっと穴の中を覗き込んでみる。本来なら筋肉や血管、骨が見えるべきなのに、穴の中には黒い空間が広がっているだけで何も見えない。
恐る恐る指をその中に入れてみるが、やはり血も着かずに石のように硬い感触があるだけだった。
ふと目線を外して上に動かすと、瞳孔が開ききった目と合ってしまった。フォーマルなスーツは半分燃えてしまっている成人男性だ。仰向けにしてやり、強く握りしめた手を胸の上に置かせて瞼を閉じさせる。手の爪には土が入り込んでおり、ひどく苦しんだことがうかがえる。きっと何が起こったのかも分からないまま、クリーチャーに襲われたそのまま死んでしまったのだろう。
(僕達もこうならないように・・・。)
ふと、この死体が凛世だったらと想像してしまう。遊馬の中では出会って数日の間柄だが、それでももしも死んでしまったら哀しむだろう。遊馬だけでなく、凛世の家族だって・・・。
「遊馬ー!あったよ発炎筒!」
「うん、ありがとう。」
死角越しに凛世の声がする。思考を現実に戻してそちらへ向かう。
「なにしとったん?」
「いやなんでも。なんでもない。」
少し元気を取り戻しているらしい凛世から、赤い筒を受け取ると注意書きに目を通す。
「もう、行こうか。」
「ええのん?」
ここにはもう用はない。長居をしていたところで収穫はないだろう。さて、どこへ行けばいいものか。