ダークリリィ:ゲーマーの僕が有名ゲームキャラたちと同じ空間に詰め込まれた件について   作:バガン

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第225話

 さて、もう行くとは言ったもののアテはない。目標も何もなくまるで迷路のような山の中を歩くのは遭難必至と言っていい。

 

 車で先ほどまでトンネルの中、それも結構な距離を登りで通ってきていた。つまり後ろ側は山ということ、徒歩で山越えが必要になる。それよりかは、道路沿い・・・崖の上のとつくが、ともかく道路沿いに進んで町なりを探したほうがまだマシかもしれない。

 

 「とりあえず、道路なり家屋なりを探すことにしようか。」

 「アテあるん?」

 「ないけど、それか崖を登る?」

 「ムリムリ無理!」

 「僕にも無理だわ。」

 

 崖、というか山の斜面は結構急勾配だ。それこそアクションゲームの主人公並みの登攀能力がなければ途中でずり落ちることだろう。

 

 「これが迷路なら左手の法則があるんだけど。」

 「左手の法則?」

 

 知ってる人も多いことだろうが、迷路の片方の壁に手を着きながら進み続けていれば、いつか必ず迷路の出口に出られるという、攻略法がある。

 

 「でもそれって入口から始めてないと意味ないんとちゃうんかった?」

 「うん、それはまあそうだ。」

 

 これには迷路に迷ってから使っても意味がないという欠点がある。例えば手を着けた壁が円柱状に丸く繋がっていた場合、同じところをぐるぐる周ることになる。

 

 同じ理由でアリアドネの糸作戦も使えない。第一そんなに長い紐も持っていないし。

 

 「地面に線を引くってのもなくはないけど。」

 「それするぐらいやったら左手とも変わらへんで。」

 「そうだなぁ・・・。」

 

 閑話休題。下手な考え休むに似たりとも言う。

 

 車で走っていて、左側が崖だった。つまり、崖に対して右側が元来た方向、左側が行き先の方向というわけだ。 

 

 「だからここは崖沿いに左へ歩こう。」

 「進行方向に?」

 「戻って山越えは無理、なら進むしかないでしょ。」

 「マジか・・・。」

 

 後ろに道はない、進むしかない。遊馬が残酷な現実を突きつけると、凛世はまたぐったりと肩を落とす。

 

 「ここで助けを待ってても、またあのクリーチャーが襲ってくるかもしれないし。」 

 「それもそやな・・・。」

 

 この霧の中、どこから襲ってくるかわからないが、右側が壁なら少なくとも右から襲ってくる可能性は低くなる。

 

 「しゃーないな。そうと決まったらはよ行こ!」

 「じゃあ僕が左側と後ろを気にしながら歩くから、凛世は上に気を付けてて。」

 「上?」

 

 この濃い霧の中、期待は薄いと思うが何かの光が見えるかもしれない。山の中に灯台はないと思うが、それでも外灯や建物のの光が見えるかもしれない。

 「不安かもしれないけど、凛世は死なせないから。」

 「なんや、いきなり。」

 「いや、そのままの意味。」

 

 それに、せめて俯かずに歩いていてほしいと思ったから。

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