ダークリリィ:ゲーマーの僕が有名ゲームキャラたちと同じ空間に詰め込まれた件について   作:バガン

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第226話

 崖の下、というよりも谷の底というほうが正しい。そこはかなり暗く、足元に気を付けながら二人は並んで歩く。

 

 「あたっ。」

 「あっ、大丈夫?」

 「平気、パンプスやのーてスニーカー履いてくればよかったかな。」

 

 足元を躓いて転んだ凛世の手をとるが、線が細い指が冷たくなってきている。

 

 「手つないで歩こうか。」

 「あいてて・・・うん。」

 

 凛世はお尻についた土を払って立ち上がると、遊馬の手を強く握り返す。

 

 「上ばっか見てたら足元がおろそかになるで。」

 「まあ、ほどほどにね。」

 「遊馬も後ろばっか見てるとこけるで。」

 「うん。」

 

 風すら吹かないこの霧の底、木々のざわめきも鳥獣の鳴き声もしない森から視線を前に戻すが、どうにも影から後ろからあのクリーチャーがやってくるような感覚がぬぐえない。

 

 「ちょっ、遊馬速いって。」

 「んっ、ごめん。」

 

 そんな焦燥感に駆られると、自然と足も速くなってしまい凛世と足並みが合わない。また凛世が転びそうになるところで声を掛けられて我に返る。

 

 「もう、遊馬大丈夫なん?」

 「うん・・・平気だよ。一旦落ち着こうか。」

 「落ち着くんは遊馬の方やで。」

 

 そう言われながらも周りに目をやって警戒する遊馬に、なにか感じるものがあったのか木陰に腰を下ろした凛世が心配そうに見上げる。

 

 「凛世、寒くない?」

 「ううん、平気。」

 「なにか気を紛らわすものを持ってなかったかな・・・。」

 

 遊馬も腰を下ろしてカバンの中を探り、凛世はそれを見るともなく見ていた。

 

 「お菓子ぐらいないものか。」

 「アメちゃんならあるで。」

 「わーい。」

 

 飴玉で喜ぶなんて子供かと言いたいところだが、ちょうど口が寂しくなっていたところだった。

 

 「あっ、ガムがあったよ。一粒どうぞ。」

 「あんがと。」

 

 一方遊馬もボトルガムを見つけて凛世にお返しした。お菓子を持ち寄って交換する様は、天気がよければピクニックのようだったかもしれない。

 

 「ガムが味無くなったら、アメ舐めて味付けとかせえへんかった?」

 「したした。というかアメの中にガムが入ってる駄菓子あったよね。どんぐりガムって。」

 「どんぐり、ガム?どんぐりアメやのーて?」

 「ガムだったと思うけど。」

 「どんぐりアメゆーたら、アメのバイキングみたいなやつやろ?」

 「なにそれ、知らない。」

 「知らん?お祭りの露店とかであったで子供のころ。」

 「知らない。屋台のお菓子って言うと綿あめぐらいしか知らないかな。」

 「ベビーカステラは?前作ったでウチ?」

 「知らない。」

 

 こうして話ている間は、焦燥感から逃れられている。本当に1人だったら、こうはいかなかったろう。

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