ダークリリィ:ゲーマーの僕が有名ゲームキャラたちと同じ空間に詰め込まれた件について   作:バガン

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第229話

 「この道、大丈夫なんかな?」

 「2人合わせても100kgは越えないだろうし、大丈夫だとは思うけど。」

 

 足場の金網から覗ける下の河は、結構な急流で深さも見えない。落ちたら即死、とまではいかなくとも間違いなく溺れることになるだろう。

 

 それが一歩一歩踏み出すごとに、ギシギシと音を立てて不安を無駄に煽る。まあ、滑りそうなパイプの上を綱渡りさせられるよりはいいだろう。

 

 ペンキがはがれて錆の浮いた手すりに触れると、赤いものが指に着く。

 

 (赤・・・鉄の色。)

 

 ふと、遊馬は自分の左肩に触れ、そこにあるはずの傷のことを思い出した。絆創膏を貼っただけの小さな点だが。

 

 河の中央にまで来たところで、少し広い足場に出た。緊張しっぱなしというのも体に悪いので、ここいらで一休みすることとした。

 

 「遊馬、ケガ大丈夫なん?」

 「血も出ないし、今は痛くもないよ。」

 「あの怪物も出てこぉへんし。」

 

 油断はできないが安心はしている。ふと、今まで歩いてきた道の方を見てみるが、あのクリーチャーの姿は影も形もない。

 

 少し、考えを整理しよう。そもそも今遊馬の周りでは何が起こっているのか?

 

 「ねえ凛世、さっき言ったこと覚えてる?」

 「どれ?」

 「えーっと、僕は実は記憶喪失じゃなくて、並行世界から来たって話。」

 「ああ、そんなん言うてたな・・・。」

 

 そう、遊馬の意識・・・この場合、魂なんだろうか。それだけがこの世界の遊馬に憑依?あるいは入れ替わってしまっている。しかも、伝家の宝刀で虎の子のゲームPODネクスも手元には無い。

 

 その原因は、仲間たちと行った『半抜きバグ』のにあると考えられる。・・・一体なにをどうやったのかはわからないが、とにかく実行されて今こうなっている。

 

 さて、こっちの世界の遊馬も色々と問題を抱えているが、そのこととこの奇怪な霧の現象はおそらく関係ない。これも半抜きバグのせいで、どこかの世界と繋がってしまったのだろう。とんでもないことをしてくれたものだ。やはりもっと強く止めるべきだったか・・・。

 

 「遊馬、頭大丈夫なん?」

 「血は出てないしタンコブも出来てないよ。」

 

 健全な物言いではないが、これが健常な者の反応というものだろう。でも信じてほしい、こんな状況は普通じゃないが、現実に起こっていると。

 

 「なんなんそれ・・・じゃあ全部遊馬のせいなん?」

 「そうとも言えるし、そうとも言えない。」

 

 これからどうすればいいかもわからない。この霧が一体どこまで広がっているのかも、見当つかない。

 

 「ただ、この状況をどうにかできるとしたら、それは僕にしかできないと思う。」

 

 まるでヒーローのようなことを言っている。自分の言葉に酔うつもりはないが、すこし眩暈がしてきた気がする。

 

 「実態はマッチポンプやん。」

 「まあそうなんだけど・・・。」

 

 そしてヒーローには敵がつきものだ。

 

 金網の足場に、断続的な振動が加わっていることに気が付いた。

 

 「まさか!?」

 「来たん?!」

 

 遊馬は凛世を背後に庇うようにバッと立ち上がり、後ろの道に目を凝らす。霧の向こうから、あのクリーチャーがやってくるに違いない。

 

 じんわりと汗を背中にかくが、まだ敵の姿は見えないまま、やがて振動が止まる。

 

 「どこだ・・・?」

 

 キャットウォークからじゃない、パイプの上か?それとも金網の下か?視線をぐるぐると動かす。

 

 「アカン・・・ウチもう・・・。」

 「凛世?!走るの!」

 「逃げる!」

 

 ダンダンダン、と金網を蹴って凛世が向こう岸の方へと走り出した。

 

 それを待っていたかのように、遊馬の脇をすり抜けるようにあの四つ足のクリーチャーが現れた。

 

 「キャァアアアアアアアア!!!」

 「凛世!」

 

 前に立っていた自分をスルーし、その牙が凛世に襲い掛かる。一瞬遅れて遊馬も追いかける。

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