ダークリリィ:ゲーマーの僕が有名ゲームキャラたちと同じ空間に詰め込まれた件について   作:バガン

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第231話

 だるまさんが転んだのような追いかけっこは、意外にも功を奏していた。怯え切った凛世も、時間が経つにつれて徐々に落ち着きを取り戻していた。

 

 「遊馬、大丈夫なん?」

 「痛い。」

 

 橋の4分の3ほどを過ぎたところで、遊馬の心配が出来る程度には余裕があった。なにせクリーチャーは遊馬を尻尾で掴んでいる限りは、首に鎖を繋がれているも同然に動きを制限されているのだから。見た目に反して膂力はさほど強くないらしい。

 

 (いいぞ、そのまま僕の足を引っ張っていろ。穴の中の餌を掴んで手が抜けなくなったマヌケな猿のように・・・。)

 

 前回のことを考えると、ある程度ダメージを与えると撤退するようだ。この狭い橋よりも、広い向こう岸にまで行けば立ち回りもしやすくなる。凛世は逃げながら、遊馬は追いながら向こう岸へ行くのだ。

 

 さも不愉快そうにクリーチャーは低くうなる。その動きに一瞬凛世はビクッと怯えるが、少しずつ距離を取っていく。

 

 (んっ・・・?なんか、足が変だ・・・・)

 

 巻きつかれ過ぎて血のめぐりが悪くなったのか?段々と右足の感覚がなくなってきていた。緊張状態が続いてそれどころではなかったが、ふと嫌な予感がよぎった。

 

 きっとひどく鬱血しているだけだろう、と遊馬が恐る恐る自分の足を見る。

 

 「なっ?!んっ!?」

 

 大出血よりもひどいありさまだった。なにせ傷口が無かったのだから。傷口どころか、足そのものが見えなくなっていた。

 

 思わず手すりから手を離してしまい、クリーチャーが野に放たれて凛世に向かって走り出す。

 

 「うわぁ!来た!」

 「あぎゃあああああああ!!!」

 

 おろし金ふたたび。服がズタボロに穴が開きそうだが、なんとかしてもう一度手すりに捕まろうとするが、道路を走る車のようなスピードで引き摺られる有様では、冷静に捕まることも出来ない。

 

 「いやぁあああああああ!!」

 

 目標を定めたクリーチャーは真っ直ぐに凛世に向かう。凛世も床を蹴って走るが、じきに追い付かれるだろう。

 

 しかし運がいいのか悪いのか、ともかくその状況は凛世と遊馬、それともクリーチャーでもない要素によって打開される。

 

 「きゃっ!!」

 

 長く放置されて劣化していたのか、それともけたたましい大騒ぎがトドメとなったのか、足場が崩壊をはじめたのだ。

 

 「落ち、落ちる!」

 

 崩壊によってできた段差に躓いた凛世は前に倒れ込み、さっきまでいた場所が河へと崩落していく。凛世の脚も引き込まれそうになるが、なんとか落ちまいと捕まることが出来た。

 

 だが疾走していたクリーチャーはそうもいかなかった。悲鳴を上げながら崩落する足場に巻き込まれ河へと転落していき、水中へと没していった。

 

 「お、おお・・・。」

 

 河はさほど水位も流れなさそうであったが、クリーチャーは苦しみ悶えている。その体から、水を掛けられたドライアイスのように白い霧を発しながら沸騰していく。

 

 「水に弱かったのか・・・。」

 

 そして遊馬の見ている前で、クリーチャーの体は霧に溶けていった・・・。

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