ダークリリィ:ゲーマーの僕が有名ゲームキャラたちと同じ空間に詰め込まれた件について   作:バガン

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第232話

 「助けて・・・落ちる・・・。」

 

 さて、当面の脅威が去ってホッとしていた遊馬だったが、凛世のか細いSOSに目が覚める。それよりも自分の足が消えかかっている状態をなんとかしたかったが、そんなにゆっくりとしている暇もない。足に巻きついたまま千切れて残っている尻尾を解く。

 

 足場は崩れて、道が断絶されてしまっているので少し逡巡したが、すぐに隣のパイプによじ登って綱渡りを試みる。

 

 「うっ・・・足が重い・・・。」

 

 感覚どころか存在自体が消えそうだが、それでもたしかにそこに『ある』。見たいような見たくないような。

 

 「凛世ー、ちょっと待ってろ!」

 「はよきてー!」

 

 丸く、滑りそうなパイプの上をあわてず騒がずに渡り、向こうの足場へと着地すると凛世の手を取る。

 

 「しっかり、掴まって!」

 「あ、遊馬ぁ・・・!」

 

 なんとか凛世を引っ張り上げるが、その瞬間に脆くなっていた足場に負荷がかかったのか、ガコン!という音とともに浮遊感を味わう。

 

 「「うわぁああああああ!!!」」

 

 2人が何する間もなく、足場ごと河面に墜落した。

 

 「ぶはっ!結局こうなるのか!」

 「もういやだ・・・。」

 

 服を着たまま河に飛び込むなんてまさに青春の夏!って感じだけど、正直今日は肌寒いぐらいだったので遠慮願いたかった。思わぬケガや事故の元になりかねない。

 

 「事故にはもう遭っとるんやけどな・・・。」

 「そうだったね、うー寒っ。」

 

 河を歩いてなんとか岸にまでたどり着くが、服も靴もずぶ濡れで風邪を引きそうだ。どこかで乾かしたい。

 

 「あっ、カメラとか無事かな?」

 

 そしてカバンの中身までぐしょ濡れだ。汗を拭く為のタオルも入っていたが、そのタオルも濡れていて意味がない。あわてて取り出して確認する。

 

 「あっ、よかった。動いてる。」

 「よくないわ!」

 

 とにかく河は渡れた。森と斜面だらけの谷を抜けられた。ゲームなら次のステージ、探索範囲が広がったというところ。まずは人家を探したい。

 

 「出来れば人がいてくれるといいんだけど。」

 

 なにせ山奥だ。テレビもねえラジオもねえ車もそれほど走ってねえ、なんて孤立している場所だともう絶望しかない。

 

 「うぅ・・・寒いっ・・・。」

 「大丈夫?」

 「ううん・・・。」

 

 凛世の方はかなりグロッキーになっている。クリーチャーに2度も襲われ、水に落ちたとなると普通の人間なら消耗もしよう。

 

 「なんでそういう遊馬の方は大丈夫そうなん?」

 「僕だって結構ギリギリだよ。ただ凛世もいるし。」

 「カッコつけてんの?」

 「まあ、ね。」

 

 正直、凛世の存在が無ければ泣いていたことだろう。孤独は影から心を蝕んでいく。だが、少なくとも今は一人ではないから。

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