ダークリリィ:ゲーマーの僕が有名ゲームキャラたちと同じ空間に詰め込まれた件について   作:バガン

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第236話

 さて、宴もたけなわだがもう寝ようかとなった。が、さすがに二人同時に寝て、寝込みを襲われたりしたら面白くない。火の番をしながら交互に寝ようということになった。

 

 「レディファーストだ。先に寝てなよ。」

 「ウチ、寝起き悪いで?起きないかも。」

 「そうなったら困るのは凛世の方だから、がんばって起きてくれ。」

 

 焚火を家の玄関部分に移動させ、服を吊るして乾かしている屋内で休む。せっかくだから屋根のあるところで寝たい。土を払った板の間に毛布を敷いて凛世が横になる。

 

 「寝れそう?」

 「枕ないとあかんわ。」

 「我慢してね。」

 

 外は暗過ぎて見通せそうにないので、カメラの暗視モードを使ってみるか。と言ってもバッテリーがもう心もとないので、変な音がした時に確認するだけにとどめるが。

 

 「遊馬ー、遊馬ー。」

 「何?」

 「もうちょいこっち寄って。」

 「はいはい。」

 

 服はまだ生乾きだった。どうせならしっかり洗濯してアイロンもかけたかったが、ここには水道も電気も通っていないのだから。あの河を渡ってきたパイプも長年使われていなかったのだろうな、と遊馬は回想した。役には立ったが。

 

 「凛世、寝れる?」

 「んー・・・。」

 「まあ、目を閉じてるだけでも落ち着いてくるだろうし。」

 「遊馬ー・・・手ぇ握ってて・・・。」

 「うん。」

 

 凛世の細い指をとると、ぎゅっと握り返してくる。安心した子供のようにホッと凛世の表情が緩んだ。

 

 (寝たか。よっぽど疲れていたんだな。)

 

 やがて凛世はすやすやと寝息を立てて眠りの世界に落ちていった。それを確認した遊馬はそっと手を離して焚火の方へと近寄ると、またじっと足の穴を見つめる。

 

 穴がくりぬかれているのなら、代わりのなにか物を詰め込んだらいいんだろうか?そんな能力をもった主人公の漫画を知ってるが、多分答えはそうじゃない。

 

 今度は肩の方を見る。鉛筆大の虚空がぽっかりと口を開けている。こちらは間違いなく穴が拡がっている。

 

 「最初に襲われたのが昼過ぎで、気づいたのが夕方、6時間ぐらいかな?それでこれだけ開いたのか?」

 

 刺されていた時間は足の方が長かった。単純にあのクリーチャーに攻撃されていた時間の長い方が大きく開いていくというのはわかる。しかしそれなら時間経過だけが穴が拡がるトリガーとも単純には考えにくい、と思う。これがゲームだとするならの話。

 

 ゲーム的に考えれば、一度攻撃を喰らったら後は死ぬまでのカウントダウンしかないというのはクソゲー一歩手前だ。完治は出来なくとも、進行を遅らせる方法が必ずある。デッドソイルの時の低温のように。

 

 ああ、こういう時ホラーゲームなら先に死んだ被害者が手記なんかを遺してくれて、プレイヤーはそれを読むことで自分がどういう状況にいるのか理解できるんだが。

 

 じゃあ、その被害者の立場になって考えてみよう。今わかっているあのクリーチャーの情報は・・・。

 

 「霧の中から現れて、水に弱く溶けてしまう・・・。」

 

 よくよく考えると、この特徴は矛盾している。霧は水滴なんだから、霧の中にいるだけであのクリーチャーは溶けていくはずだ。この霧は、水とは違うのか?

 

 「水に溶けると、霧のようになって蒸発していく・・・。」

 

 霧の中から現れる、というよりも霧から生まれるモンスターなのか?

 

 「『フォッグ』みたいやな。」

 「フォッグ?」

 「そういう映画があんの。ホラー映画の名作やん。」

 

 毛布から起きだしてきた凛世が、毛布をまとって傍にやってくる。

 

 「ゲームやのーと、映画にそんなのがあんねん。」

 「いや、『フォッグ』なら知ってる。オマージュしたゲームも多いし。」

 「そう?その割には今まで気づかへんかったやん。」

 「候補が多すぎて絞れなかったんだよ。」

 

 『フォッグ』、霧の向こうに異世界のゲートが開き、そこから怪物がやってくるというモンスターホラー映画の金字塔だ。デッドソイルも影響を受けている、と知ってはいるが遊馬は実際には見たことは無い。

 

 「凛世、ホラーはダメなんじゃ?」

 「前にテレビでやってたんをな、つい見てしもたんや。」

 「しかしそうか、霧の向こうに異世界のゲートか。」

 

 モロに辺りに近そうなワードが出てきた。異世界のゲートとは、ゲーム世界で見たクラックに違いない。そこまで行けば・・・そこまで行けば、なにが出来るだろう?

 

 まあ、1つ光明が見えた。休もう。

 

 「え、ウチまだ全然寝れてへんのやけど?」

 「交代してくれるから起きてきたんじゃないのか。」

 「手ぇ離さんといてぇや!」

 

 急に子供みたいに駄々をこね始めた。やれやれ、と思いまながらも悪い気はしない遊馬だった。

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