ダークリリィ:ゲーマーの僕が有名ゲームキャラたちと同じ空間に詰め込まれた件について 作:バガン
それからはしばし河のせせらぎと、自分たちの足音だけを歩き続けていた。どこを向いても真っ白で何も見えないとあっては、特に話すようなことがないのだから。
「なあ、もう一回聞きたいんやけど。」
「なに?」
「ホンマに、遊馬は遊馬やないの?」
「そうだよ。信じられないだろうけど。」
ただひたすら退屈に脚を動かす時間が続き、意味のない問答が続いていた。その話はもう何回もしただろう、と遊馬も半ば呆れ気味に答える。
「改めて聞くと、そのことが今のこの状況に関係しとんねんなって、今理解できた気ぃするわ。」
「今頃か。」
「いや、今度こそ本当にわかってんて。」
この話をするのも何回目か。常識的に考えればそんなこと言ってるやつは気が狂ってるとしか思えないし、信じる方も信じる方だ。狂人の真似をすればそれすなわち狂人とはよく言ったもんだ。
「でさ、そのゲームPODがあれば何が出来るん?」
「ロボットを呼び出せるかな。」
「呼び出してどうすんの?」
「バット片手にこんな道を歩かなくて済む。」
空も飛べるし、クリーチャーなんて鉄拳で一撃だ。
「他にも仲間たちと連絡もとれるし、ゲームの世界と行き来することもできた。」
「そっちなら安全なん?」
「そうとも言えない。崩壊一歩手前のアンバランスな状況だから。」
「そうなん。」
その崩壊が、今まさにこの世界にもヒビを入れているのだが。
「この霧の発生源が世界を繋ぐ次元の裂け目なんだとしたら、僕の目的地はそこになる。」
「ウチも行くん?」
「凛世は街にまで戻すよ。」
山を越えるにしろ戻るにしろ、車が必要になる。上の本道に戻れば少しはマシかもしれない。
と、そうこうしているうちに橋の脚部へと到達した。
「階段もあるな。」
上へ昇れそうな、おそらくはメンテンンス用の階段を発見する。幸先がいい。
「鍵は・・・かかってないな。」
「かかってても乗り越えるしかないやろし。」
「確かに。」
階段も朽ち果てたりしてるような様子もない。パイプの道のように崩落する危険はないだろう。
「ふぅ・・・ちょっときゅうけーい。」
「賛成・・・なんか疲れる。」
半分ほど登れたところで休憩する。が、足元が透けているところでは少々落ち着けない。
「うわぁ、結構高いねんな。空飛んだことあるん?」
「ある。というか宇宙まで行ったこともある。」
「宇宙?」
「軌道エレベーターでね。」
「なにそれ。」
ああ、ここにもエレベーターがあれば楽だったな。夢物語のような話を凛世は興味深そうに聞いてくるので、遊馬も言葉に熱が籠った。