ダークリリィ:ゲーマーの僕が有名ゲームキャラたちと同じ空間に詰め込まれた件について 作:バガン
「なななな、なんなんアレ!?」
「知らん!」
ギャリギャリとタイヤが悲鳴を上げるほどに加速され、オムの焦げた臭いを置き去りにするようにトンネルへと駆け込む。
「フゥーッ・・・フゥーッ・・・!」
「まさか・・・まさかあんな怪獣が本当にいるなんて・・・。」
道路の2車線を咥え込めそうなほどの幅の顎の広さだった。その全身像は見れてなかったが、その口にふさわしい巨体に違いない。
あんなものがハイウェイの上を塞いでたのならまあ色々と合点がいった。納得した。
ともあれあの巨体ではトンネル内には入ってこれないだろう、と少し進んだところで安心してミラーを見る。
「遊馬!後ろ後ろ!!」
「うせやろ!?」
ミラー越しに見たものを信じられず、顔ごと後ろを向いてさらに後悔した。
追い抜いて置き去りにしたはずの大口が、今まさに背後から迫ってきているではないか。これ以上は意味がないというのにアクセルを踏む足から力を抜くことが出来ない。
「ひぇえええええええ!!!」
「ちょっと黙ってて凛世。」
狂乱する凛世に反して、遊馬は逆になんだか冷めてきていた。あの巨体にも関わらず狭いトンネルの中に入ってこられるのは、実態はヘビのように細長い体をしているのか?それともキリンのようにながーい首を持っていてそれを突っ込んできているのか。
実際のところ、ただ現実逃避のために頭を回転させているフリをしているだけなのだが、そのおかげかトチ狂ってハンドルを変に切らずにすんでいた。
「うわ!うわ!うわぁあああ!!」
「あーあーあー。」
ビリビリとトンネルの壁面からも振動が伝わってきている気がした。振動が来ているということは、足があって走ってきているということで・・・。
いや、この辺でやめておこう。
このトンネルは、行きは上り坂だった。つまり今は全速力で坂を下っているということになる。等間隔に置かれたオレンジの照明が一本の線になって見え、スピードはゆうに時速120kmを越えている。
だというのに、怪獣を振り切ることが出来ない。相手がバテてスピードを緩めるのが先か、それともこの車のエンジンが火を吹くのが早いか。
「遊馬!遊馬!」
「黙ってて!運転に集中してんだから!」
今になって思い出したが、本当に考えなければならないことは他にいくらでもあった。このままのスピードでトンネルを抜けたとして、その先は?たしか緩やかながらもカーブになっていたはずだからこのままでは曲がり切れずに大クラッシュ不可避だ。
そうでなくとも、いずれ追い付かれるかもしれない。あの口に咥えられたら一瞬で車はスクラップ、中にいる人間も言わずもがな。
「こうなったら・・・凛世!」
「キャー!キャー!」
「落ち着け!」
こうなれば、イチかバチか、最後の手段だ。