ダークリリィ:ゲーマーの僕が有名ゲームキャラたちと同じ空間に詰め込まれた件について 作:バガン
「うへー、またぐしょぬれだ。」
「風邪ひかへんようにな。」
「今度は家の中であったまれるといいんだけど。」
トンネルでの激闘から数十分後、非常口を抜けて再びハイウェイに戻るとサービスエリアにて車を調達して走らせて今に至る。もう間もなく元来た街にまでたどり着くだろう。
「この霧、やっぱり広がってるんかな。」
「そうだな、もしや世界中まで?」
だというのに、霧はいまだに晴れないのだ。この車を調達したサービスエリアも、今くぐったインターチェンジも行きの時点では雲一つないほどに晴れやかだった。
街にまで戻ってくれば安心だ、と思っていた遊馬と凛世はこの惨状に面食らった。かろうじて電気や水道は生きているし、携帯の電波も復活してきたが、どこにも繋がらない。
「・・・アカン、家にかけても誰も出えへんわ。」
「どうする?もうすぐ街に入るけど凛世の家に寄る?」
「うん、そうして・・・。」
とうとう街にまで到達した。が、時間的には昼だというのにしんと静まり、まるでゴーストタウンのような様相を呈している。
「駅前にこんなアーケードあったっけ。」
「ここ、車で入れへんのやけど・・・。」
「じゃあここら辺で停めておくおくか。」
そういえば、遊馬のいた世界の数年前から、駅前の再開発が行われていたような・・・と遊馬は記憶の片隅を探る。まあ、引きこもり生活が長すぎて浦島太郎のような状態なだけかもしれないが。
「おとんー!おかんー!」
凛世がアーケード街の一つの店の前で声をあげる。お好み焼き屋の戸を叩くが反応がなく、裏へ回る姿を遊馬も追う。
「カギは持ってないの?」
「今開ける。」
ポケットを探って凛世はカギを取り出すと、震える手でそれを鍵穴に差し込み、一拍開けて中へ入っていく。
「誰もおらんのー?」
「僕ここにいるから。」
「入ってええねんで?」
「服濡れてるから。」
こちら側はどうやら台所の勝手口のようだった。住居部分の2階に凛世が声を掛けながら入っていくのを眺めながら、遊馬は表通りの方に視線を送る。
(街の中にまでクリーチャーがいるってわけではないのかな?)
少なくともここまで死体は見ていない。ちらり、と自分の肩を確認するが、やはり昨日見た時よりも穴は広がっている。足の方はというと、とうとう足と太ももが皮一枚だけで繋がっているような有様にまで成り果てていた。
「遊馬ー!遊馬ー!」
「何?」
「おとんとおかんいたー!」
「そうかー。」
どうやら凛世の家族は無事だったようで、しばらくして凛世は2人を連れだって降りてくる。
「あら遊馬ちゃん、いらっしゃい。」
「・・・こんちは。」
「今日はお店やってないんだけど、あがってゆっくりしていって。」
お母さん若いな。ちょうど凛世をそのまま少し成長させたような雰囲気だ。
「いや、こんな状況だし早く家に帰りたいので。」
「まあまあ、少し休んでいけよ。昨日連絡もなしに外泊した理由も聞きたいしな。」
お父さんは・・・ガンコそうだけど子供想いないい人っぽい。多分この2人の名前も遊馬は知ってるんだろうけど、思い出せないから適当にはぐらかすしかない。
「えーっと『お父さん』、ちょっと家が心配なので今日のところは堪忍していただきたく・・・。」
「誰がお父さんだ誰が!」
「あー、あー、まあまあおとんもおかんも、遊馬も疲れとるんやし、な?」
「ええ?疲れてるならなおのこと休んでいきなさい!お腹も空いてるんでしょ?」
そこまで言われて、遊馬も凛世もキュウとお腹が鳴った。まあカエル肉しか食べてないのなら仕方がない。
「じゃあ、お言葉に甘えて。」
「はいはい、どうぞ座って。」
結局、遊馬は厄介になることになった。