ダークリリィ:ゲーマーの僕が有名ゲームキャラたちと同じ空間に詰め込まれた件について 作:バガン
「廃屋で野宿したぁ?」
振舞われた食事中に根掘り葉掘り聞かれるものだから、娘さんをぞんざいに扱ってしまったことをつい口が滑らせてしまった。まだカエルを食べてたことは話していないが、それよりももっと重要な問題がある。
「霧の中から現れる怪物か・・・。」
「ちな、これが証拠の映像ね。」
回しっ放しにしていたカメラの断片的な映像にもクリーチャーは映っていた。夕食中にこんなテレビ番組やっていたら即チャンネルを変えるが。
「ケッタイな天気やな思てたけど、まさかこんなことになっていたなんてな・・・。」
「ホンマに大変やったんやからな。」
「よく無事やったね。」
無事ではないのだが、まあこの家族には関係あるまい。遊馬はそれとなく肩を少し撫でると、お好み焼きの続きを食べる。ソースの濃い味や、豚肉の脂身が生命力を沸き立てさせる。
「こんだけ美味いのを毎日食べれれば、舌も肥えるだろうな。」
「遊馬ちゃんの料理もおいしいのに。」
「これには負ける。ご馳走様でした。」
本当においしかった。生地のふっくら感にキャベツのザクザク感、カツオ節や青のりの香りもいいし、毎日食べても飽きなさそうなお好み焼きだった。
ふと、ゲーム世界で食べたモンドのラーメンを思い出した。あれは味が濃すぎてすぐに飽きそうだった。けど、このお好み焼きと同じくらい血と汗はかかってそうだった。異物混入的な意味ではなく。
(帰ったら、これを作ってやりたいな。)
非力な遊馬に出来ること、というかやりたいことが一つ増えた。
「じゃ、僕はこの辺でおいとまさせてもらおうかな。」
「もうちょっと休んでったら?」
「この霧が街全体にまで広がっているということは、そのうちに日本全体、世界中にまで広がっちゃうよ。のんびりしてる暇はない。」
「待てよ。キミがどうにかしなくちゃいけない問題なのかい?そういうのは消防や自衛隊に任せればいい。」
水に弱いという観点からは、消防の方が頼りになりそうだ。それはともかく、そうも言っていられない理由が遊馬にはあるのだ。説明しても意味がないだろうけど。
「具体的に何すんの?」
「とりあえず、この霧のクリーチャーについて調べて、情報を発信したい。まだネットは生きてるみたいだし。」
「ほんならウチも手伝うで。」
「凛世は家にいろ。せっかく無事に帰ってこれたんだから。」
せっかく家族が再会できたのだから、これ以上巻き込みたくない。それ以上でもそれ以下でもない事を言ったつもりだった。
「遊馬がそうやったら、ウチもなんかしたいねん!」
だがそれが逆に凛世の逆鱗に触れた!僕変な事言っちゃった?
「まあまあ、とりあえずもう少し落ち着いてからでもいいじゃない。ネットで調べるならウチでもできるでしょう?」
「そうだそうだ、一休め一休め。」
「む、むぅ・・・。」
須藤一家に気圧されてうまくやり込められてしまった。駅前のアーケードからなら、遊馬の家までもうすぐそこなのだけど、そのすぐそこが遠くなった気がした。