ダークリリィ:ゲーマーの僕が有名ゲームキャラたちと同じ空間に詰め込まれた件について   作:バガン

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第250話

 「遊馬、お茶。」

 「ん、サンキュー。」

 「淹れて。」

 「はいはい。」

 

 たっぷり30分は休憩をとったところでPCモニターの前にまで帰ってきた。さて、コメントや動画の依頼はどうなっているだろうか。

 

 「ふーん・・・けんもほろろ。」

 「なに?」

 「誰も乗ってくれてない。」

 

 遊馬や凛世の動画を拡散してほしいという願いは、辛らつな言葉と共ににべもなく断られてしまっていた。

 

 「まああんまり期待してなかったけど、ここまでとは・・・。」

 「どうするん?」

 「しょうがない、まずは料理チャンネルの方でも動画を上げよう。」

 

 ならばアプローチを変えてみよう。他に同じような動画を上げている人がいないか探してみよう。

 

 《霧の中で配信中のやつがいた→httq・・・》

 

 「おっ、こっちもおったで。」

 「なんで自分から危険の中に入っていく!」

 

 台風の真っ只中にアーティストの真似をするのよりも危険だ。そこまでして視聴率が欲しいのか。

 

 『えー、まもなく秩父ですが、霧は濃くなるばかりです。』

 

 スマホ片手に動画を撮影しながら放送している配信者がいた。

 

 《道路封鎖を隠れて通り抜けたらしい》

 

 「あー、山の方は立ち入り禁止らしいで今。ニュースでやってた。」

 「死亡フラグビンビンじゃないか。」

 

 たとえ何の異常もないただの濃霧だったとしても、警察の封鎖を乗り越えて山を登るのは普通に遭難する。実際遊馬も凛世も遭難して途方に暮れていたし。

 

 放送ページを見ると、視聴者数は3万人を越えている。それまで全く無名だった配信者が一躍有名になれるチャンスとあれば、ホイホイと危険の中にも入っていくのだろう。

 

 「どうする?止める?」

 「とりあえずコメントするか・・・。」

 

 さきほどまでこの霧の中を歩いていたこと、霧の中に怪物がいること、その他をつらつらとコメント欄に書き綴る。

 

 《売名乙》

 《怪物とかワロスwww》

 《気にせず行っちゃえ行っちゃえ》

 

 「ダメみたいですね。」

 「ダメみたい。」

 

 遊馬の警告にも聞く耳持たずで、コメントは配信者を煽る。自分たちはパソコンの前でキーボードを叩くだけなのだから、気楽に無茶ぶりだってしてくれる。

 

 多分、この配信者も引くに引けぬところまで来てしまったのだろう。自業自得とはいえ同情する。

 

 『今なにか・・・うわぁあああああああああ!!!』

 

 突然、配信者の絶叫と共に画面が真っ白になった。その端に映る触手のようなものと低いうなり声。やがて人の叫び声も聞こえなくなり、うなり声も遠ざかっていくのだけが聞こえた。

 

 「どうやら怪物に襲われたらしい。」

 「うわぁ・・・。」

 

 その瞬間、コメント欄も騒然となった。やれさっきの警告の通りにしていればと言うものあり、自分たちが追い立てた責任を転嫁して自分を擁護するものあり、阿鼻叫喚の大荒れであった。

 

 「この状態でURLを貼っても一瞬で流れていきそうだな。」

 「ふえぇ・・・遊馬ぁ・・・。」

 「なに、今更ショッキングだった?」

 「うん・・・。」

 「風呂でも入ってサッパリしてきな。」

 

 《リンちゃん大丈夫?》

 《代わりに動画URL貼っとこうか?》

 

 「頼んだ。」

 

 食べた弁当がリバースしそうな凛世を休ませると、遊馬も目頭を押さえる。目が非常に凝っている。

 

 《あすまも休んだら?》

 《そろそろ3時間だよ》

 《リンちゃんの入浴シーン配信はよ》

 

 もう時間は夕暮れだ。外も暗くなってきたし、本格的に休んだ方が身のためだろうと遊馬も配信を停止した。

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