ダークリリィ:ゲーマーの僕が有名ゲームキャラたちと同じ空間に詰め込まれた件について   作:バガン

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第252話

 一糸まとわぬ生まれたままの姿、というやつだ。遊馬はそうなっているし、凛世はタオルを体に巻いている。

 

 「湯船にタオルを浸けるのはマナー違反だぞ?」

 「ウチは水着来てるから別にええで。」

 「ならこっちも海パン穿かせろ。」

 

 と言ったものの自分は水着なんて持っていたかと遊馬はふと思い出した。少なくとも中学から水泳の授業が無かった陰キャで引きこもりの遊馬は買った覚えがない。この世界ではどうだったのかは知らないが。

 

 「ホラホラ背中流すから座った座った。」

 「なんでそんなにノリノリなんだよ。」

 「ウチ流しっこ好きやもん。子供のころからよくオトンの背中流しとったし。」

 「ふーん。さすがに今は一緒に入ってないよね?」

 「しとらんしとらん。久しぶりやで。」

 

 タオルを石鹸で泡立てると、ゴシゴシと遊馬の背中を洗い始めた。

 

 「遊馬結構背中綺麗やな。出来物もないし。」

 「そう?人の背中なんか普段見ないからわからん。」

 「・・・。」

 「何書いてる?」

 「当ててみ。」

 

 凛世が背中に何かの文字を書いている。当ててみろというが、かなり:複雑な漢字のようで予測がつかない。

 

 「わかった?」

 「わからん。」

 「なら鏡見てみ。」

 「どれどれ・・・・『純情』ってなんだこりゃ。」

 

 振り返って鏡を見ると、特攻服の刺繍のようにデカデカと背中に落書きされていた。

 

 「よぉ似合ってるで。」

 「はあ・・・あとは自分で洗えるから凛世は湯船に浸かってな。」

 「ウチのことは流してくれへんの?」

 「子供かい、ったく。」

 

 お互いに流しあってこその流しっこということか。そういえば、風呂場で他人の体を触るというのも遊馬には経験がなかった。子供のころからずっと1人で入っていたし。

 

 「やさしゅうしてな・・・?」

 「まかせろー。」

 「あだだだだ!痛いって!」

 「ごめん、ついいつもの調子で。」

 「これ、乙女の柔肌やねんで?」

 「男と同じ風呂に入る乙女がいるか。」

 

 ザバーッと頭から湯をかけてあしらう。

 

 「それで遊馬、今日はその・・・せえへんの?」

 「配信?」

 「ちゃう。」

 「ゲーム?」

 「ちゃう!んもー、一緒のお風呂入ってる時点で『OK』やって思ってーさ・・・言うのも恥ずかしいやん。」

 「あー、ゴメン。理解した。別に今日はしない。」

 「なんで!いつもやったら飛びつくのに!」

 「どんだけ飢えてたんだ前の僕。」

 

 やることはやってる関係だとは聞いていたけど、正直なところ凛世の事をそういう目で見れない。

 

 (もっとすごい『兵器(シェリル)』も見てるしなー・・・)

 

 口が裂けても他の女の話などできない。

 

 「なんなん?!遊馬って釣った魚にはエサやらんタイプやったん?!」

 「なんだそれ。というか、僕が以前の僕とは違う存在だって忘れてない?」

 「うっ、そう言われたらそうやけど・・・正直、今の遊馬の方が好きやし。ハッキリ言ってくれるし、頼もしいし・・・。」

 

 じゃあなんで付き合ってたんだと問いたくなるが、よそう。自分と自分自身とを比べるなんてバカバカしい。

 

 「あっ、別にウチが寂しいとかそういうわけではないんやで?ただ、今の遊馬すごい焦ってるから、見てられへんで。」

 「そう?」

 「そやで。大体こんな状況、遊馬1人でどうにかできるわけあらへんやん。」

 「それも、ゲームPODさえあれば・・・。」

 「よしんば出来たとしても、遊馬がやることやないやん。映画でだって、軍隊が動いて解決するんやろ?」

 「うん。」

 「なら、遊馬が動かんでも一緒やん。」

 

 それは・・・たしかにそうなのだが。

 

 「けど、今の状況が僕らのせいだとしたら・・・。」

 「それかって、ホンマにそうなん?遊馬たちが何かしたせいでこうなってるって保証あんの?」 

 「それは・・・。」

 

 ほぼ間違いない、のだがそう言われると段々自信が消えてくる。だんだんと頭が冷めてくるような感覚を覚えた。

 

 「へっくし!その前に体が冷えるわ。」

 「ほらほら、湯船入って落ち着こ。」

 「わかったわかった。」

 

 2人分の質量の分だけ、湯があふれ出す。

 

 「あー・・・なんか、あったかい。」

 「ウチお風呂大好き。」

 「温泉にでも浸かりに行きたいけど、こんな状況だしなー。」

 「ええなー温泉。温泉でも流しっこしたいわ。」

 「混浴とか?」

 「ううん、露天風呂付の部屋借りて。」

 「高いわ。」

 「なんでー、チャンネルで儲けとるんやろ?」

 「たかる気か。」

 「料理チャンネルは2人でやっとるんやから、2人のお金やろ?」

 「このやろう。」

 「きゃんっ。」

 

 とりとめのない話を続けていくうちに、遊馬はすっかり憑き物が落ちたようになった。

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