ダークリリィ:ゲーマーの僕が有名ゲームキャラたちと同じ空間に詰め込まれた件について 作:バガン
「マスコミはもういないか・・・。」
そうして同じ道を辿って、家にまで戻ってくる。玄関前にいた人だかりはいなくなっており、大手を振るって正面から入ることが出来る。
「凛世ー?ただいま。」
玄関の鍵を開けて家の中に呼びかけると、しばらくして凛世がやってくる。
「遊馬おかえり。あー怖かった。」
「なんかあったの?」
「さっきのマスコミがしつっこくってさ。ずーっとそこにおったんやもん。」
「もう帰ったよ。」
遊馬は玄関を閉めて鍵もチェックする。さすがに家の中にまで入ってこないとは思うが、すぐにこの玄関をこじ開けて不法侵入してくるような気がしてならない。
パーカーのフードをとって、やっと素顔の遊馬に戻ってこられた。リュックを凛世に預け、腰かけて一息つく。
「生き辛い世の中になったもんだな。」
「ほんまやな。やっぱりウチ来る?」
「凛世の家に迷惑かけられないよ。それより凛世の方こそ帰る気は、ないんだろうね。」
「ないで。」
電池を棚に仕舞い、食料をテーブルに並べながら凛世はあっけらかんと答えた。
「それより、今日はどうすんの?」
「何かゲームをして楽しもうかなと。」
「ええやん、なにすんの?」
危機感が薄いと言われるだろうが、小市民の遊馬に他に出来ることもなし。せめて今を楽しもうというわけだ。
「どうせ後は自衛隊なり米軍なりが解決してくれるだろうし。それまでじっと待とう。」
それは同時に半ば諦めの境地でもある。事件の初動で動画を上げたり配信したこと以外に遊馬は行動を起こしていない。結局のところ、それがどれほど社会に影響を与えたのかも定かではない。つまり、遊馬には世界を変えることはできなかった。
遊馬としては会心の一発だと思って放った矢は、誰の心に刺さることもせずに地に落ちて、蟲が湧いた。
「大作タクティクスRPGで、今日は夜遅くまで遊ぶぞ!」
「おー!でも配信するん?」
「配信なぁ、こんな時だし。」
「こんな時こそ楽しんでやろうや。」
「そうだな。」
遊馬としてはじっくり孤独に楽しむつもりだったが、やはりみんなでワイワイ楽しんでこそのゲーム。特にRPGとなると、横から茶々を入れながら見ているだけでも楽しいものだ。
「じゃあ、凛世がプレイして。僕は横から見てるから。」
「え、なんで?」
「ゲーム初心者な凛世の方が面白いプレイをしそうだから。わからなくなったら教えるから。」
「んー・・・わかった!」
世界を変えることが出来なかったのなら、せめて凛世のために行動したい。