ダークリリィ:ゲーマーの僕が有名ゲームキャラたちと同じ空間に詰め込まれた件について 作:バガン
「ではリン、このカセットをセットするんだ。」
「オッケー・・・どこに?」
「一番上に差せばオッケー。」
「ここね。」
手元のコントローラーのケーブルの繋がっている先、うずたかく積まれたゲーム機『トロフィー』にビッグファーザーのカセットを凛世が差す。
「これなんでこんなデカいん?」
「これ一機であらゆるハードのゲームが出来るなら安いもんだと思うよ。配線繋ぎなおす必要ないし。」
オタクに『必要最低限』って言葉はない。あればあるほど必要になるし、部屋のスペースをどんどん占領していくのだ。
たしかこの『トロフィー』は遊馬が物心つく前から置いてあったような気がする。実際生まれて初めてプレイしたゲームもこれを使ってたし。すごくかさばるという点に目をつぶれば、20年以上現役なのだと考えると費用対効果はすごいだろう。
「ま、それはさておき電源を入れるのだ。声高らかに。」
「なんかセリフがあった方がええん?」
「まあ、配信だし。」
「そう?じゃあ、えっと・・・リンちゃんすいっち、おん!」
《かわいい》
《すでにかわいい》
カチッという耳に心地よい音がすると、すぐに画面に製作会社のアイコンが表示される。
「最初の『IPPENDO』はわかるけど、他の会社は見たことないアイコンやな。」
「全部社名を変えて『イッペンドー』の傘下に入ってるよ。」
「へー。」
『イッペンドー』は関西に本社を置く日本の大手ゲーム会社だ。ゲームに疎い凛世でも知っているぐらい有名と言えば、その影響力の強さがわかるだろう。老若男女問わずとっつきやすいゲームデザインの傾向から、とりあえず『いっぺんどう?』とオススメしやすいゲームが多い。
「ふーん。」
「興味なさそうだね。」
「ない。とりあえずいっぺんやってみればええんやろ?」
「それでいい、ゲームの楽しみ方は人それぞれで・・・。」
「ちょっと黙ってて。」
「はい。」
すっと凛世の目が細く・・・といっても顔を隠すためのお面を被ったままだが、とにかく真剣なまなざしを画面に向けた。
「というか、そのお面まだしてるの?」
「顔バレしたないし。」
「あの動画でもう顔映ってたから意味ないと思うんだけど。」
《顔出さなきゃ顔出し配信の意味なくない?》
《みたーいーみたーいーリンちゃんのご尊顔みたーいー》
まあ、無理強いはよくない。顔を隠しておきたいというのもわかる。けど本当に凛世の顔は世界中に拡散されている。
「まだワンチャン ウチとは別人やって思われる可能性もあるやろ?!」
「もう語るに落ちてるよ。」
自分で白状してしまっているのに気付いているのかいないのか、とにかく凛世はお面を外さない。