ダークリリィ:ゲーマーの僕が有名ゲームキャラたちと同じ空間に詰め込まれた件について   作:バガン

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第262話

 それからまた二日経った朝食の時間、テレビがあまり意味のないニュースを伝えている。

 

 『引き続き、霧のニュースです。今朝、静岡県、茨城県、千葉県にまで広がったことが確認され・・・』

 

 聞きたいのはそんな情報ではなく、自衛隊の動きとか、この事態がいつまで続く見込みなのかということだ。

 

 傍らのスマホに映った衛星写真でも、目に見えて白い範囲が増えている。世界中で見てもこんな光景が広がっているのは日本だけなのは本当に不思議だ。

 

 「また缶詰かぁ。」

 「もう冷蔵庫は空っぽだよ。」

 「野菜が食べたいわぁ。」

 「うーん、野菜かぁ・・・。」

 

 本格的にビタミン不足が深刻化しそうだった。配給食糧の中にビタミン錠剤もあったが、これだけでは物足りない。緑色のものが食べたいのだ。

 

 「うぇー、ニキビ。」

 「フラストレーションも溜まるよね。」

 

 なにより太陽光を浴びられないというのがストレスだ。今の環境で日光が差し込む時間が冬の時期よりもずっと少ないのだ。

 

 「なんか気分転換でもしたいわ。」

 「じゃあゲームだな。」

 「そこは運動とか言わへんの?」

 「だって外出られないし。」

 

 引きこもり時代の遊馬だって、料理の材料を買いに外には出てはいた。自分の家だというのに閉じ込められている感覚だというのはおかしな話だ。

 

 「あー・・・友達と遊びたいなぁ・・・。」

 「ゼミの連中と?」

 「うん、まあ・・・他にもおるけど。そういえば大学はどうなってんねやろな。」

 「大学のホームページでは、避難所みたいになってるらしいけど。」

 

 そこそこの敷地内に、大きな建物。電気はソーラーパネルで自給自足していたそうだが、この天候ではそれも今は難しいだろう。

 

 「大丈夫かなぁ・・・。」

 「まあ、僕らに何が出来るわけでもないし。」

 「せやなぁ・・・。」

 

 晴れない空を見上げながら、山向こうの大学に思いをはせる。遊馬は行ったこともないのだが。

 

 「ま、それはさておき今日も配給あるから行こうか。」

 「せやな。あっ、一回家にも寄ろか。」

 「そうだね、顔見せてあげないと心配するだろうし。」

 「もうネットに顔晒してもうたけどな。」

 「自爆でしょうが。」

 

 ああ、5日前に食べたお好み焼きが懐かしい。キャベツや豚肉が食べたい。

 

 「せめてソースだけ舐めてその気分に浸れへんかな?」

 「余計に空しくなるだけだよ。」

 

 なにより、熱い料理をここ数日食べていないのだ。アツアツの牛丼も食べたい。

 

 本格的に『飢え』が始まった。このままではストレスで死んでしまいそうだった。

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