ダークリリィ:ゲーマーの僕が有名ゲームキャラたちと同じ空間に詰め込まれた件について 作:バガン
「まさか・・・あっちの世界か!」
「あっち?」
「前に言ってたゲームの世界!」
「マジ?」
まさか、最初期にあった『カサブランカのゲームをクリアしたら世界が繋がってきた』という設定をここで拾ってくるとは夢にも思わなかった。そういえばと遊馬も忘れていたが、そういうコンタクトの仕方もあったのか。
『えーっと、Hello?』
『反応がありませんわね』
『こっち見えてんのかな』
「見えてるよー!!」
「画面に話しかけてもしゃーないで。」
おそらくトビーや美鈴がそこにはいるんだろう。なんとかしてコミュニケーションをとれないものか。
「マイクとかないん?」
「ある。」
ゲーム機にマイク?とおもわれるかもしれないが、音声入力をするゲームソフトもあるので、その周辺機器としてマイク入力機があるのだ。引き出しの中からそれを取り出してコントローラ端子2に挿し込み、パソコンから抜いたヘッドセットをつける。
「もしもし!」
『うわっ、いきなり大声出すなよ遊馬』
『ん?』
「みんなー!聞こえてるか!」
『聞こえてるっての。』
ヘッドセットから聞こえてくるのは、忘れもしない仲間たちの声。こちらでは1週間程度の期間のはずだったが、それでも長らく会っていなかった気分になる。
「よかったー、1人っきりで放置されててどうなってるのかと・・・。」
『あ、ここから聞こえてきてるのか』
『ちょっとみんな黙ってて』
「僕だよ!遊馬だよ!」
『遊馬こそ黙れ』
「はい。」
『え、僕?』
が、安心したのもつかの間、何かがおかしいことに気が付いた。知らない声が聞こえる。
『まあいい、お前は誰だ?』
「片桐遊馬ですけど?」
『だからちょっと黙ってろ』
「はい。」
『お前じゃない、お前は誰だって言ってんだよ』
「遊馬!」
『シャラップ遊馬!』
「だからなんで?」
『ちょっとモンドも黙ってて。ボクが代わりに話すから』
天丼のようなやりとりが交わされて、遊馬も違和感の正体に気が付いた。一旦ヘッドセットを外して現実世界に戻ってくる。
「ねえ凛世、僕って、遊馬だったよね?」
「知らんがな。」
まあ、自分が遊馬なことは自分がよく知っている。だというのに、まるで『向こう側』にいる仲間たちはまるで遊馬が遊馬でないかのように扱ってくるのだ。
『もしもーし?』
「あー、もしもし聞こえてる。」
『再度聞こう、確認のために。君の名は?』
「片桐遊馬」
『歳は?』
「一応17歳。今20代だけど。」
『趣味は?』
「創作料理。」
『好きな映画は?』
「マッドマックス。」
『そうなの?』
『うん。』
さすが聡明なトビーのこと、どうやらお互いに確信がついたようだ。
『なるほど、君は確かにカタギリアスマなんだね』
「うん。」
『Well, well, well・・・しかしどういうことかな』
「まさか・・・そっちにも?」
『そのマサカだよ、アスマ』
おそるおそる、遊馬は聞いてみる。あまりにお粗末で、馬鹿げた話であるが、哀しくもその想像は本当だと見せつけられてしまった。
『そうだ、僕も遊馬だ・・・あれ、僕って遊馬だったよね?』
『知らん』