ダークリリィ:ゲーマーの僕が有名ゲームキャラたちと同じ空間に詰め込まれた件について 作:バガン
「なあ、ところで質問があるんやけど・・・。」
うなだれる遊馬の隣でその話を聞いていた凛世が、恐る恐ると聞いてきた。
『なあにガールフレンドさん?』
「ようわからんけど、今の遊馬ってウチの知っとる遊馬とは別やねんな?その、記憶が。」
『そうだね』
「それって、いつか戻るん?」
『上書き保存したセーブデータの、元のデータが戻ると思う?』
「無理やな。」
一度消してしまったセーブデータを復旧するのは、改造でもしないと無理だろう。違法改造したカセットや本体は、メーカーの保証対象外になりかねないので、絶対にやめよう。
で、今の状況はまさにその違法改造なのだ。たとえメーカーがいたとしても修理はしてくれないだろう。
『同じ顔、同じ記憶があればそれは同じ人間と言えるのか?答えはノーだ。けど、君は君だよ』
「慰めありがとう。」
泣いても嘆いても現実は変わらない。ひとまずは置いておくことが遊馬にはできた。
「じゃあ、今のこの状況はどういうことなの?」
『映画によく似た、怪物の闊歩する世界か・・・。』
「そっちの世界で何かやったからこんなことになってるんじゃないの?」
『多分違う』
「じゃあ、解決する方法はある?」
『ある、にはあるんだけど・・・』
と、向こう側の遊馬が言いよどんだ。
「なんでだよ、今まで世界を渡り歩いてきたんでしょ?同じトロフィーがこっちにもあるんだから出来るはずだろう?」
むしろ、なぜできると思うのかが遊馬には疑問が湧いたが、口から吐いて出た言葉に対してすぐさま返答が返ってきた。
『実際世界を変えるだけの力はあるよ、けどそっちのトロフィーにもあるとは考えられないし』
「それでそっちの僕は奇跡的な力で楽しんでたんでしょ?こっちは大変だったっていうのに。ズルいじゃん!」
『大変だったんだけどなぁ』
向こうの遊馬の大変だったという言葉も本当だったんだろうけど、こちらの遊馬にはそんなこと知る由も思慮する余地もなく。ただそんなことを言ってしまった。
『科学者的な見解から言わせてもらうと、この状況自体が奇跡的なものなんだけどね』
「そうなん?」
『今まで『異世界』の存在は観測出来てても『並行世界』の存在までは観測していなかったからね』
「いや、前に並行世界の収斂について話してたじゃない?」
『あれはあくまで仮定の話。例えるならマンションの窓の外に隣のビルを見ることはできても、壁一枚隔てた他の部屋の様子がどうなってるかなんてわからない、ってことだから』
「それがそんなに奇跡なの?」
『実際、今まで『並行世界』には行ったことないから』
並行世界の自分と出会うという奇跡はもう起きた、後は自分自身の手でなんとかするしかない。奇跡を万能の魔法にしてはいけないのだ。