ダークリリィ:ゲーマーの僕が有名ゲームキャラたちと同じ空間に詰め込まれた件について 作:バガン
「終わった・・・長い悪夢が・・・。」
はるかに地上を見下ろす宇宙から、その悪夢の元凶が燃え尽きたことを確認しながら。
地球からほんの少し離れただけの場所でありながら水も空気もない、黒く静謐なる世界。霧の世界とはある種真逆な場所。そこにロケットも使わずにこんな小さな機体でいるのは遊馬ぐらいなもので・・・。
『余韻に浸ってるところ申し訳ないけど、時間解ってる?』
「せっかくいいところだったのに。」
『非現実的な世界ならゲームの中だけで充分やろ?』
「おお凛世、いたの?」
『声かけるタイミングがなかっただけや。』
『まあまあ、ガールフレンドも待ってるところだし、さっさと帰ったら?』
んまあ、一歩外に出れば人間なんか生きていられない世界だし、冷静に考えたらこんなつり橋の上みたいな場所はあまりいたくない。ちょっと疲れたのでオートパイロットの帰投モードに切り替えてシートに深く腰を据える。
「ニュースとかなんかやってる?」
『もうてんやわんややで、急に霧が晴れたって。』
「だろうね」
眼下の日本列島からはすっかり霧が消えたようだし、おいおいライフラインも復旧することだろう。社会はまた混乱するだろうが、久しぶりに生の野菜も食べられることだろう。
「で、これからどうすればいいんだろ?」
『家に帰って寝ろ』
「そうじゃなくて、僕の記憶とかそういう話。」
『それに関してはどうにもならないよさっきも言ったけど』
やっと目下の問題が解決したところだが、そのおかげで心の奥底にあった不安が噴出してくる。
結局のところ今の遊馬というのは、ゲームの世界の遊馬のコピーでしかなくて、この世界の元の遊馬とも違って・・・。
『そんなことない、君は君だし、この世界を救ったのも事実だよ』
「自分に慰められてもなぁ。」
『お前がこちらの世界にアクセスできない限りは、自分と同じ存在がいるとは思えなかったわけだろう?今更悩むようなことでもないだろ』
「こっちはモンドより繊細なハートしてるんだよ。」
『じゃあこう考えてみなよ、本当はこっちのアスマの方こそコピーで、君の方がオリジナルなんだと』
「そんなことありえる?」
『人間の個性というのは結局、他人からの評価で出来ているものですわ
。人の外側というのは何を成したかで測られるもの。あなたは世界を救った、それだけで十分じゃないですの』
「美鈴が言うなら信じよう。」
『おい』
「冗談、ありがとうみんな。」
まあ、考えるだけ無駄だ。これからどうするかは自分が決めることだ、未来は他人にゆだねるものではない。