ダークリリィ:ゲーマーの僕が有名ゲームキャラたちと同じ空間に詰め込まれた件について   作:バガン

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第275話

 「じゃあ、凛世お願い。」

 「そこは『お願いします凛世様』やろ?」

 「優しくしてね?」

 「ふふっ、あかーん。」

 

 家に帰ってまず風呂に入って身を清めた遊馬はベッドに横たわり、その傍らには凛世がいる。

 

 「とは言ったもののなんか不安になってきた。」

 「んもー、ちっとはウチを信用しとき。これでも髪だって自分で切ってるんやで?」

 「髪切るのと整形手術を一緒にしないでほしい。」

 

 えっちぃ展開を期待してたなら謝らなければならない。凛世が持っているのはカメラ付きタブレットとタッチペンである。

 

 『よーし、いいぞやっちゃって』 

 「はいはーい、ついでに顔に落書きでもしたろか?腹筋もバッキバキに割っちゃって。」

 「余計なことはしなくていい!穴を埋めるだけでいいんだから!」

 

 タブレットに映された遊馬の体、その肩と足に開いた穴にズームインすると、肌色で塗りつぶしていく。ただの塗り絵だからアタリやラフなんか描かなくても楽チン。

 

 「あーあ、こんな簡単に整形できるんやったら、ウチも二重瞼にしてもらおうかな?」

 「しなくてよろしい。」

 「今のままでもかわいい?」

 「そうだよ。」

 

 塗りつぶされた穴を押さえて調子を見るが、普通に肌や筋肉の感触が返ってくる。特に違和感もない。

 

 『これにて本当に一件落着かな?』

 「そうだな、色々ありがとう。」

 『どういたしまして』

 「こんな世界救うようなこと、毎回のようにやってたわけだよね?」

 『まあね、自分自身を救うのは初めてだけど』

 

 そうなんでもないように言ってのける、画面の向こう側の自分が誇らしく見えた。大変さは向こうの方が負担が大きいだろうから、代わりたいとも思わないけど。

 

 『それでいい、君は僕には送れなかった普通の日々を送っていてほしい』

 「そういうもんかな?」

 『うん、知らなくてよかったことが存外世の中多いってわかったよ』

 「そうか、じゃあもう聞かない。」

 

 気にはなるけど、それは自分とはまた別のお話。

 

 『じゃ、通信切るね』

 「うん、ありがとう・・・って、こんな味気ない終わり方でいいの?」 『これ以上続けてても湿っぽくなりそうだし、というか僕がなりかけてる』

 「どういう?」

 『あー凛世、そっちの僕のこと、よろしくお願いね』

 「うん、それは大丈夫やで!安心しといて遊馬!」

 『ならいいんだ、それでいい』

 

 なにか含みのある言い方をされてしまったが、それ以上追及する気が起きなかった。自分のことだからなんとなく理解できてしまった。

 

 光の消えた画面に、遊馬の顔が写る。本当に『元の世界』へと戻ってきたようだった。

 

 「さあ・・・どうしたい?遊馬。」

 「決まってる。ゲームをしよう!」

 「まだやるん?」

 「正確には凛世がやるんだよ。ゴッドファーザー2の実況もあることだし、それまでに1をもう一周するんだよ!」

 「えぇーっ、なんでなん?」

 「なんでも!二週目からが本番なんだから!」

 

 長い悪夢が覚めても、夏休みはまだ終わっていない。朝日はまた昇ってくるのだから。




 第6章工事完了です・・・
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