ダークリリィ:ゲーマーの僕が有名ゲームキャラたちと同じ空間に詰め込まれた件について 作:バガン
「じゃあ、凛世お願い。」
「そこは『お願いします凛世様』やろ?」
「優しくしてね?」
「ふふっ、あかーん。」
家に帰ってまず風呂に入って身を清めた遊馬はベッドに横たわり、その傍らには凛世がいる。
「とは言ったもののなんか不安になってきた。」
「んもー、ちっとはウチを信用しとき。これでも髪だって自分で切ってるんやで?」
「髪切るのと整形手術を一緒にしないでほしい。」
えっちぃ展開を期待してたなら謝らなければならない。凛世が持っているのはカメラ付きタブレットとタッチペンである。
『よーし、いいぞやっちゃって』
「はいはーい、ついでに顔に落書きでもしたろか?腹筋もバッキバキに割っちゃって。」
「余計なことはしなくていい!穴を埋めるだけでいいんだから!」
タブレットに映された遊馬の体、その肩と足に開いた穴にズームインすると、肌色で塗りつぶしていく。ただの塗り絵だからアタリやラフなんか描かなくても楽チン。
「あーあ、こんな簡単に整形できるんやったら、ウチも二重瞼にしてもらおうかな?」
「しなくてよろしい。」
「今のままでもかわいい?」
「そうだよ。」
塗りつぶされた穴を押さえて調子を見るが、普通に肌や筋肉の感触が返ってくる。特に違和感もない。
『これにて本当に一件落着かな?』
「そうだな、色々ありがとう。」
『どういたしまして』
「こんな世界救うようなこと、毎回のようにやってたわけだよね?」
『まあね、自分自身を救うのは初めてだけど』
そうなんでもないように言ってのける、画面の向こう側の自分が誇らしく見えた。大変さは向こうの方が負担が大きいだろうから、代わりたいとも思わないけど。
『それでいい、君は僕には送れなかった普通の日々を送っていてほしい』
「そういうもんかな?」
『うん、知らなくてよかったことが存外世の中多いってわかったよ』
「そうか、じゃあもう聞かない。」
気にはなるけど、それは自分とはまた別のお話。
『じゃ、通信切るね』
「うん、ありがとう・・・って、こんな味気ない終わり方でいいの?」 『これ以上続けてても湿っぽくなりそうだし、というか僕がなりかけてる』
「どういう?」
『あー凛世、そっちの僕のこと、よろしくお願いね』
「うん、それは大丈夫やで!安心しといて遊馬!」
『ならいいんだ、それでいい』
なにか含みのある言い方をされてしまったが、それ以上追及する気が起きなかった。自分のことだからなんとなく理解できてしまった。
光の消えた画面に、遊馬の顔が写る。本当に『元の世界』へと戻ってきたようだった。
「さあ・・・どうしたい?遊馬。」
「決まってる。ゲームをしよう!」
「まだやるん?」
「正確には凛世がやるんだよ。ゴッドファーザー2の実況もあることだし、それまでに1をもう一周するんだよ!」
「えぇーっ、なんでなん?」
「なんでも!二週目からが本番なんだから!」
長い悪夢が覚めても、夏休みはまだ終わっていない。朝日はまた昇ってくるのだから。
第6章工事完了です・・・