ダークリリィ:ゲーマーの僕が有名ゲームキャラたちと同じ空間に詰め込まれた件について 作:バガン
第276話
さて、ちょっとしたハプニングはあったものの、一行はまたひとつ世界を救ってしまった。遊馬は今までそうしてきた回数をもう数えてはいない。
「なに悦に入ってるんだよ。」
「おおモンド。なに、この戦いももうすぐ終わるんだなって思うと感慨深くって。」
「なに老人みたいなこと言ってる。まだ終わっちゃいないんだぞ。」
「わかってる、今から終わらせに行くんだ。」
ラストダンジョン、魔王の住む城と、この世の終わりのタイムリミットはすぐそこにまで迫っているのだ。
「それより、宇宙のZポイントにまで行けるエネルギーは溜まった?」
「ああ、波動エンジンも好調。いつでも発進できる・・・だというのに、ず~~~~~~~~~~~っと、渋ってたのがお前だろうが!」
「でへへ、サーセン。」
現実世界では、アルマゲドンが秒読みとなっている状況だというのに、かれこれ3か月ほどはゲーム世界で実績解除とトロフィー集めに精を出していた。
いつの間にやら、拠点となる学園保健室にはトロフィー代わりのアイテムがズラリと並んでいる。使えるもの、使いづらいもの、一見するとガラクタにしか見えないものも色々あるが、そのいずれにも血と汗と涙が籠められており、たまにそれらを眺めては思い出にひたるのが主な使い方。
「だってしょうがないじゃん、こんな大量のイベントがあるのに全部スルーしてクリアだけしちゃうなんて、ゲーマーとしてもったいないじゃん!」
「お前、世界とゲームどっちが大事なんだよ。」
「ゲーム。」
「ああ、知ってた。」
臆面もなく言い切る遊馬に、モンドや美鈴は頭を抱えずとも目頭を押さえる。文句を言いつつもずっと付き合ってきた仲なので、もう突っ込む気にもならない。むしろこの平常運転さに安心感すら感じていた。
「最終決戦を前にしても怯えない肝っ玉はさすがだね。」
「トビーならわかってくれると思っていた。」
「らぴ!」
「でも、そろそろやることも煮詰まってきたんじゃない?」
「・・・まあね。」
それにしたって、いい加減現実に目を向ける必要がある。このゲーム世界が、いわば時間の止まって空間だからと言って、現実世界の危機が無くなっているわけではない。
「長い長い回り道も、ここで終わりだ。」
「エルザと雄二さんが待っていますわ!」
「終わらせるんだ、俺たちの手で。」
「らぴ!」
「みんな・・・。」
今この場に、戦いに赴くことを躊躇する者はいない。戦いは次の戦いのために。未来に生きていくためにある。
もっとも、彼らにもう『未来』はないかもしれないのだが。
「戦いが終わったら、どうする?」
「どうするか?決まってる」
「「「「ゲームをする!」」」」
「よろしい。」
だが彼らはそれでも構わなかった。見返りなど求めなかった。ただ自分たちのためだけに戦うのだった。