ダークリリィ:ゲーマーの僕が有名ゲームキャラたちと同じ空間に詰め込まれた件について   作:バガン

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第278話

 光る雲を突き抜けFly away。初めて宇宙に行ったときはそれはもう感動したが、今は電車に乗って通勤しながら窓の外の景色を眺めているときほどにも何の感慨もわかない。元引きこもりな遊馬にはほぼほぼ無関係な感性かもしれないが。

 

 『僕、この戦いが終わったら就職するんだ・・・。』

 

 「マジ?」

 

 『するわけないじゃん!こっちならお腹もすかないし、税金は納めなくていいし、いいことづくめだし!』

 

 「引きこもりになんてもの渡してくれてんだ父親は。」

 

 『その父親を今からぬっ転がしに行くわけだけど。』

 

 「ためらいとかないのかよ?」

 

 『息子の教育に失敗して世界を滅ぼそうとする父親なんて、息子にとっては父親じゃないんだよ。』

 

 「いわんとすることはわかる。」

 

 ここでこれまでのあらましをサクッと紹介しておこう。

 

 遊馬は現実世界で先日に、『エヴァリアン』の保有する『現実改変装置』を破壊することができた。しかしその最後っ屁として、オービタルリングが破壊されてしまう。

 

 このままでは地上へ落下し、世界が滅びかねない。そこでゲーム世界から現実に干渉し、オービタルリングを地球圏から押し出そうとしている。というわけだ。

 

 しかし、ゲームPODネクスに残された現実改変の力はあとソフト一回クリアできる分しかなく、その後には何の力も残されない。

 

 そしてなにより、ゲームの世界と現実世界は完全に切り離され、遊馬はそのどちらかの世界にしか存在できない。

 

 『だから僕はゲームの世界を選ぶ。』

 

 「現実の世界に未練とかないの?」

 

 『ない!というわけでもないけど、天秤にかけるなら断然こっちかな。』

 

 豆腐メンタルな遊馬には現実はあまりにも辛すぎた。何もしてなくてもお腹はすくし、ひょんなことでも腹が立つ。いいことなんかひとっつもない。

 

 『こっちの世界ではそんなことないしね。』

 

 「永遠に引きこもるのか。」

 

 『どっちの世界しか選べないっていうより、どっちを選んでもいいんだよ。だからこっちを選んだ。それだけ。』

 

 「なんて後ろ向きに前向きなんですの。」

 「まあ咎めはしない。」

 

 『たかが引きこもり一人が、世界を救うための尊い犠牲になろうということに、誰も称賛も哀しんでもくれないだろうし。ちょうどいいよ。』

 

 「・・・ほんとにそうか?」

 

 『それでいいよ。ちゃんとお別れはしてきたし。』

 

 遊馬は聞きようによっては自暴自棄なことを吐き捨て、諦めたと言うよりは理解したという口調でモンドは操縦桿を強く握り、トビーも視線をレーダーに移した。

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