ダークリリィ:ゲーマーの僕が有名ゲームキャラたちと同じ空間に詰め込まれた件について 作:バガン
さて、ブラックホールクラスターが起動するまであと30分ほど。このまま片桐和馬を乗せたままオービタル同士が激突すると、現実改変装置に一番近い和馬の望む世界が出来上がってしまう。それがわかった上で、和馬はエレベーターに乗るように呑気にしている。
「現実改変装置は破壊されたんじゃ?」
『一回だけは使えるらしい。都合のいいことに。』
「その一回で、自分の都合のいい世界を創るつもりか。」
『もう何回もやって無理だったんだからあきらめればいいのに。』
「前科あるのか。」
この男の存在こそが『だいたいこいつのせい』を体現している。
「しかしどいてと言ってどいてくれないなら、力尽くで退場してもらうしかないね。」
「ラスボスにしては貧弱そうだが、まあそのほうが都合がいい。」
「さっさと終わらせますわよ。」
『やだみんな殺意高すぎない?』
「時間がねえんだよ。」
トラクタービームのユニットを切り離し、ヴァイスターは戦闘モードに移行する。比較的短期なモンドに砲手を任せていたらもうぶっ放していたころだろう。操縦士でもこのまま特攻をしかけそうだが。
「落ち着いてよ。重ねて言うけどオービタルを破壊してしまったら元も子もないんだから。」
『まさか丸腰でここにきているわけでもあるまいし。』
そもそも戦闘のどさくさとはいえ、あんな場所に潜り込めているのだから何をかいわんや。
『攻撃してくるか。ならばしかたがない。』
こうなることをさも残念がるようにふるまっていたが、その実知っていたというのが和馬の本性だ。
『行ってこい、『コンプレッセ』。』
雑に投げ捨てるかのように召喚されたそれは、ひどく醜悪で冒涜的な物体。泥沼のような体表にはいくつもの顔が現れては沈み、足のあるべき場所からは腕も生えている。
『完成』という言葉からは程遠い、形のない混沌。片桐和馬の生み出した最大の『邪悪』である。
「なんだあれ。」
『ハイパーロボットウォーズFXのラスボス。コンプレッセ。』
「ラスボスだから今出てくるってのはわかる。けどなんでヤツが使役しているんだ?」
『FXのシナリオに一枚噛んでたから。だからこそ、このゲームから今の状況に干渉することができたし、あっちからも干渉できる。』
「正真正銘のラストバトルってことですわね!」
片桐和馬が持てる手駒であり、一番強い怪物。それがコンプレッセであり、なにより自信をもって送り出してきた。
「けど理解できていなかったようだね。」
『ゲームのラスボスっていうことは、必ず倒されるってことなのに。』
驚きはしたが、遊馬たちは一切意に介さない。ここまで来てたじろぐ理由もなかった。