ダークリリィ:ゲーマーの僕が有名ゲームキャラたちと同じ空間に詰め込まれた件について 作:バガン
逆に考えよう。これが最後の舞台だとして、自分が和馬ならどこにいたい?あの自意識過剰でナルシストの薄ら馬鹿が、最後の瞬間を迎えるとするならどこがいい?
自分の願望を反映するような、そんな場所を選びたくなるだろう。
「自分の作った物語を上映するなら、劇場か。」
オービタルのセントラルシティ、娯楽施設もある居住ブロックには、映画館もある。この世の終わりにそんなところに行くのまた酔狂な話だが、和馬は狂人だ。ありえなくはない。
さすがに居住区をダークリリィのまま自由に移動することはできない。あまり壊したくもないし。遊馬は機体から降りると、マップデータを片手に適当な目星をつけて散策する。時間はあまりないが、ここにならきっといるだろうという確信めいたものもあった。
『こんな、こんな世界の一体どこそんな価値があるっていうんだ!』
『雄二、やめて!』
『もういい、もうたくさんだ!オービタルを破壊する!』
果たしてそこにいた。劇場区画の一角で、古いアニメ映画を上映しているシアターがあった。
「これは、カサブランカの映画?」
クライマックスもクライマックス、世界に絶望した雄二がエルザの制止を振り切って世界の歪みの元凶を断とうとしているシーンだ。
そして、世界の敵となったかつての英雄・カサブランカは宇宙の塵と消える・・・。
まったくもってひどいシナリオだ。危なげながらも平和を勝ち取ったテレビ版とは打って変わった、救いも需要もない鬱シナリオだ。
だが、このシーンに遊馬は見覚えがあった。今から数時間前、現実世界でオービタルが破壊される直前にひと悶着あったが、それとよく似ている。
「これが、カサブランカの真のエンディングだとでもいいたいのか?」
「そうだ、私の作品とはこうあるべきだったのだ。」
劇場の舞台袖から、大物ゲストのように片桐和馬がぬっと現れた。まるで舞台挨拶にでも来たかのように、壇上でスポットライトを浴びている。
「じゃあ観客の一人としてヤジの一つでも飛ばさせてもらうが、まったくもってクソみてーな、いやクソなシナリオだな。」
「ああ、誰にも理解されない。これが天才故の苦悩、孤独だよ。」
「ただ単に需要もないクソばかり生産しやがって、勘違い野郎が甚だしいわ。」
遊馬はホルスターから銃を抜いて容赦なく和馬に向ける。
「お前にもよくわかるはずだ、他人と違うが故に疎外される孤独の痛みが。」
「僕は望んで引きこもりになったんだい。お前と一緒にするな商人欲求の俗物め。」
「だが人は一人では生きられない、多くに支えられてこその一人の人間となるのだ。」
「雄二を、エルザを、僕の友人をテメーの雑なシナリオで殺しやがった畜生め。今報いを受けさせてやる。」
まったくもって会話がかみ合っていなかった。まるでこことは違う、別な観客に一方的に語りかけているような和馬に対し、もはやこの狂人とかわす言葉などないと遊馬は容赦なく撃鉄を落とした。