ダークリリィ:ゲーマーの僕が有名ゲームキャラたちと同じ空間に詰め込まれた件について   作:バガン

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第288話

 「ぐっ・・・がっ・・・!?」

 

 遊馬の放った銃弾は、和馬の脳天を正しく撃ちぬいた。

 

 そのはずだった。だが現実として、壇上の和馬は無傷で、代わりに遊馬の腹部からは赤い液体が滴り落ちていた。

 

 「子供が親に牙を剥けるなど、あってはならない。そうだろう?」

 「こっ、この展開もいい加減手垢がついてるっての・・・お約束を通り越して陳腐だわ・・・。」

 

 別段、和馬は攻撃を反射したりしたわけではない。ただ、『偶然』遊馬の放った銃弾が和馬の頭への狙いから外れ、『偶然』壁に当たった銃弾が跳弾して、『偶然』遊馬の腹部に当たったというだけだった。

 

 「ぐふっ・・・ふぅっ・・・フゥーッ!」

 

 パイロット用の宇宙服を着ていたとは言え、ダメージを殺しきることはできない。それでも痛みに耐えながら瞳に宿した怒りの炎を燃え上がらせ、遊馬は再び銃を構える。

 

 「無駄だ。被造物(キャラクター)には脚本家は殺せない。そのことはもうすでに見てきていたはずだったろうに。」

 「黙れ!黙れっ!僕たちは、キサマの思い通りにはならない!」

 「息子よ、お前には未来があるのだ。」

 「それを閉ざしているのは、お前だ!」

 

 再び引き金を引くが、やはり銃弾は和馬には当たらない。跳弾もまたふたたび遊馬に牙を剥くが、予測していた遊馬は横に倒れることで回避する。

 

 「遊馬、私の脚本通り役割(ロール)をまっとうしろ。それだけが幸せなんだ。」

 「くそっ・・・こんのクソ脚本家が・・・自分の生み出したキャラクターに愛着がないからそんなこと言えんだろ!」

 「私は、私の息子たちを愛しているよ。」

 「嘘をつけ!望んで我が子を殺す親なんていてたまるか!」

 

 いや、いるのだ。今まさに親を殺そうとしている遊馬の存在こそが、和馬の鏡写し。愛されているから愛し返されるように、憎んでいるから憎み返される。ただ、和馬の愛のカタチが違うだけ。

 

 「鬱シナリオしか書けない似非脚本家め!天才気取りのナルシスト!それがお前だ!」

 「言ったろう、天才のそれはえてして理解されないと。時代が追いついていないのだ。」

 「だから世界を創り変えると?悲しみと絶望しかない、地獄のような世界に!」

 

 遊馬は、客席の陰に隠れながらグレネードのピンを抜いて放り投げる。無事に爆発し、破片が飛び散るが和馬はやはり一切意に介さない。

 

 「そして、その世界(ものがたり)の主人公は、お前だ遊馬!」

 「僕は・・・いやだ!」

 

 時間が、もう時間がなかった。最後の現実改変へのタイムリミットは、刻一刻と迫っているというのに、和馬の野望を阻止するだけの手立てがなかった。

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