ダークリリィ:ゲーマーの僕が有名ゲームキャラたちと同じ空間に詰め込まれた件について   作:バガン

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第289話

 唐突だが逆に考えてみよう。片桐和馬は果たして悪人なのか?

 

 なんでもかんでも鬱シナリオにして、駄作に貶めた?そんなもの脚本家の好みの話だし、それで売れないのは自業自得だ。本人は自分のことを天才だと勘違いしてなんら反省していないのが腹立つが。

 

 自分の欲望を満たすために、人や世界を巻き込んだ?だが、この世界自体が半ば彼の被造物のようなもので、それをどうこうしようというのは彼の自由である。自分の家の庭を整えようが荒らそうが、持ち主の勝手だと言ってしまえばそれだけ。

 

 それらに対する反論はこうだ。この世界も人も、和馬の書いたシナリオの登場人物でしかないのだとしても、今生きて、自らの意思をもって行動している。だというのに片桐和馬はなんら顧みることもなく悪行を積み重ねている。

 

 なら、その凶行を止められるのも遊馬たちしかないのではないだろうか?片桐和馬の息のかかった脚本ではない、『外の世界』から来たゲームの戦士たち。

 

 「やっぱ・・・僕らがやるしかないんだな・・・。」

 

 失血のせいで少し意識が飛んでいたようだ。口の中を噛み、鉄の味で意識を取り戻す。なに、夜通しゲームをやった後の、ひと眠りした昼過ぎのような感覚だ。少し眠ったおかげで頭もさえてきた。ひとつ冷静になって対処法を考えてみよう。

 

 遊馬がどんなに攻撃しても、スクリーンのなかから脚本家を撃ちぬくことはできない。遊馬もまた片桐和馬の脚本の一部でしかないのだから。遊馬が直接攻撃を試みること自体が無意味だと考えられる。

 

 出来ることが2つある。ひとつは、和馬が一切関わっていないラッピーをけしかけること。

 

 「らぴ!」

 「けどこれはきっとダメな選択だ。ラッピーにそんなバイオレンスなことはさせられない。」

 「らぴぃ・・・。」

 

 ラッピーはやる気満々だったようだが、ここは一度保留にしておこう。ゲーマーとしてのポリシーのようなものだ。こだわりとは厄介なものだが、それを捨てたら二流になり下がる。

 

 そこでいっそ発想を逆転させよう。

 

 「ここは・・・機体に戻る!」

 

 敵に対して背を向けるのはいささか癪だが、腹部を押さえながら来た道を足早に戻る。ダークリリィは置いてきたときと同様にそこにいる。

 

 「僕たちが映画の登場人物なのだとしたら、脚本家に対してどうにか出来るわけではない・・・けど。」

 

 よく言うだろう『登場人物が勝手に動く』と。片桐和馬はそういうことを許せないタイプなのだ。

 

 人間は脚本の都合で生きているわけではない。『生きている』以上、目の前に矛盾があればそれを突き止めたくなるのが知性のある人間というもの。もしも不可解な理屈や論理を飲み込んで平気でいられるのだとしたら、それはもはやただ人形にすぎないのだ。

 

 「生きている人間は前に進み続ける。時にとんでもないことだってしでかす。」

 

 ダークリリィに乗り込み、起動する。

 

 「時にはくじけたり、失敗だってする。でも、その時はまた立ち上がればいい。」

 

 そしておもむろに武器を構えると、劇場めがけて発砲する。

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