ダークリリィ:ゲーマーの僕が有名ゲームキャラたちと同じ空間に詰め込まれた件について 作:バガン
『・・・と、言うわけで劇場を破壊して『自分の世界』に閉じこもらせてやった。』
「結局、ヤツは狭い世界の中でしか生きられなかったというわけか。」
「引きこもりの家系ってか。」
「蛇の道は蛇ってことですのね。」
『反論できないが、まさにそういうことだ。』
哀しいかな、『自分の世界』に引き籠ったでいたいというセンチメンタルと、『世界を自分の色に染めたい』という願望は両立する。片桐和馬にとってそれは『劇場』という場所にしかなかった。
「本当はわかってたんじゃないかな。自分がどんなに作品を書いても、それが大衆には受け入れがたいものだってことが。」
『筆を折りたくても、そのちゃちなプライドのせいで折れなかった。だから自分の殻に閉じこもるしかなかった。』
「好きなことを仕事にしている癖に、ずいぶんな高望みですこと。」
「それがどうして現実改変の権利を得たのか。」
『その点に関しては、ヤツは本当に幸運だったのかもしれない。』
「その幸運をフイにされたわけだから、同時にヤツはとんでもないアンラッキーだったがな。」
ややイレギュラーな方法ではあったが、ラスボスである片桐和馬を封印でき、もうラストランのムードに入っていた。
「それで、次は何をするって?」
『うん、『劇場』を壊してしまった分の穴埋めをしなければいけない。』
やることは単純。鏡合わせの世界であるゲーム世界の方のオービタルにも、同じように劇場区画があるはずだ。だからそこを、壊すなりなんなりして破壊した分のバランスをとる。
「さんざん『破壊するな』って言ってたくせに、最後の最後でやらかしやがったよ。」
『しょうがないでしょ、考えられうる解答としては一番可能性が高かったんだから!』
「まあ、タブーは破るためにあるって言いますし。」
「アスマのゲーマーのカンを信じよう。」
自由度の高いゲームとは得てして悪い方向へも舵取りが出来るようになっている。そこでしか見れない限定イベントもあるので、ゲーマーとしては一度はそういう選択肢をとることもやぶさかではない・・・はず。
正直わざわざバッドエンドになるような選択をするという点では、和馬の趣向と変わらぬことは否めないが。
ま、やっちまったもんはもうしょうがない。あとは鬼が出るか蛇が出るか、行き着く底の底にまで潜っていこう。既に我らは一蓮托生なのだから。
「こいつを叩き降ろしたくなってきた。」
「どうどうモンド。」
さて、そうこうバカ話をしている内に到着となった。
「今度はボクらも降りていこうか。」
「そうだな。これ以上こいつを一人にさせているとなにをしでかすわからん。」
ヴァイスターも停まれるドックで降りると、駆け足気味に劇場を目指す。
「さ、今度こそエンディングだ。」