ダークリリィ:ゲーマーの僕が有名ゲームキャラたちと同じ空間に詰め込まれた件について   作:バガン

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第294話

 「最終決戦のフィールドが、まさかこことはね。」

 

 遊馬たちの降り立ったこの花畑には見覚えがある。スタート地点の学園の、すぐそばにある花園だ、あそこに咲いていたのは黒いユリのような花だったが。あそこは一見すると黒い花以外には何もないように思えるが、実際に探しても何もなかった。せいぜい、レイの宇宙船のミステリーサークルがあったくらいか。

 

 「ここの花は白いけど、いったい何なんだろうね。」

 「ユリの仲間だとは思いますが、見たことのない品種ですわね。」

 

 『この花はね。』

 

 花の一本をまじまじと見ていた一行の背中から声が飛んでくる。ややノイズのかかった電子音声のような、くぐもった声だが聞き覚えがあった。

 

 「おわっ、エルザいたの。」

 「そりゃ雄二がいたんだからエルザもいるんだろうけど。」

 

 黒装束の雄二とは打って変わった、純白のドレスを纏ったエルザがそこにいた。

 

 『この花はね、私たちが火星で作った品種の花なの。』

 

 「それって、エルザたちが地球に持ち帰りたかったっていう。」

 

 『そう。けどそれは赤い花だった。』

 

 「黒でも白でもなく?」」

 「赤・・・鉄の色、火星の色か。」

 

 火星の赤は鉄錆の赤、つまりは血の色である。昔の人は、その赤さから血の星、戦争の星と連想したそうだ。

 

 『火星の大地をこの花でいっぱいにして、それを地球でも育てたい。それが夢だった。』

 

 「検疫とかで引っかからなきゃいいけど。」

 「無粋。」

 「ゴメン。」

 

 しかし、咲いたのは黒い復讐の花だった。エルザたちの夢は叶わぬまま、カサブランカは終わりを迎えた。

 

 「それがどうして、今は白い花になったんだ?」

 「黒い花が復讐心の表れなら、白い花は?」

 「純粋、無垢。それに祝福ですわね。」

 

 あるいは、復讐心から解放された、まっさらな状態とも言えるのかもしれない。

 

 『あんなに私たちの心につっかえていた復讐心が、今はもう何も感じられないほどすっきりしているわ。』

 

 エルザの表情は先ほどの雄二とは違い晴れ晴れとしていたが、その瞳の奥には哀しみのようなものが見えた。

 

 「お前も、雄二と同じ新しい世界を望むのか?」

 

 『私は・・・正直、雄二と一緒に生きられるのならどこでもいいわ。』

 

 「なら僕らが戦う必要なくない?」

 

 『あなたたちは望まないの?新しい世界、自分にとって都合のいい場所を。』

 

 「いらないかな。」

 「俺はどこでもいい。」

 「今いるここがいいですわ。」

 「らぴ!」

 

 遊馬以外はあっけらかんに即答した。遊馬も少しだけ逡巡すると言った。

 

 「あの現実よりは、ずっといいかな。強くてもニューゲームしたいとも思わないし。」

 

 『そう・・・予想通りの答えね。』

 

 エルザは少し肩をすくめて呆れたように返した。

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