ダークリリィ:ゲーマーの僕が有名ゲームキャラたちと同じ空間に詰め込まれた件について 作:バガン
「おい遊馬!ここまで来て何躊躇ってんだ!」
「そうですわ!万年引きこもり生活が待っているんでしょう!」
『あなたたちだってわかっているでしょう?遊馬がそれでいいのかって。』
仲間たちからヤジにも似た声が耳に入ってくるが、動揺して焦っている遊馬の心にまでは届いてこない。
「まあ、正直ゲームの中で引きこもりになるなんて正直どうかと
思ったよボクは。」
『ならなぜ止めないの?仲間でしょうあなたたち!』
「それは若干あきらめてたっていうか、あきれてたっていうか。」
そう舌戦を繰り広げながらもトビーもモンドも美鈴も、カサブランカも戦う手は止めない。タイムリミットは止まってくれないのだから。止まっているのは片腕を失ったヴァイスロンだけであった。
当然の指摘であるが、それだけに直面したくない問題を最悪なタイミングで無理やり向き合わされた。
「重いんだよ!僕にそんな覚悟!」
『私も雄二も、遊馬になら未来を託せるって信じてたから覚悟決めたのに!それじゃあ、あんまりにもあんまりだよ!』
そんなことは遊馬にだって十分にわかっていることだった。覚悟を背負っていった者たちは、皆遊馬を信じてくれていた。
「そんなしがらみ全部捨てて、楽になりたかった・・・自由になりたかった・・・。」
『甘ったれるなよ!』
死んでいった人たちの顔は、瞼の裏にこびりついて離れない。そんな苦痛しかない思い出から目を背けたかった。
いや、それもウソだ。本当の答えはもっと別なところにある。
「自分だけの世界が創れたら・・・そんな苦労しなくていいだろう!」
故人曰く、『苦労は勝手でもするものという言葉は、苦労を売る側のもの』だ。降って湧いてくるような苦労に、買うだけの価値がどれほどあるというのか。
「エルザたちは新しい世界を創りたい!僕も自分の世界に浸りたい!そこになんの違いもないだろう!」
『違うのだ!』
『あっ、雄二起きた?』
『俺が、俺たちが新しい世界を望むのは、少しでもよりよい世界を望んだからだ!自分の殻に閉じこもりたいからじゃない!』
至極まっとうな答えが覚醒した雄二の口から放たれた。
『大人になれ遊馬!いつまでもゲームをしていていい世界なんかない!学べ!働け!生産しろ!』
『オタクは卒業してプロになれ!』
「どうしましょう、反論できなくなってきました。」
「一種の論点のすり替えだから惑わされないで。」
残り時間はあと5分を切ったというのに、場は少ししらけ気味だった。