ダークリリィ:ゲーマーの僕が有名ゲームキャラたちと同じ空間に詰め込まれた件について   作:バガン

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第33話

 外に出てみて、遊馬は一つ気づいたことがあった。

 

 「このニオイは。・・。」

 「ニオイがどうかしたの?」

 

 風に乗って、花畑の香りが漂ってくる。

 

 「風?」

 

 風だ。今まで吹いてこなかった風がを感じる。

 

 「これも、世界が融合を始めた影響?」

 「それか、クラックから風が吹いてきてるのかもな。」

 

 風とはすなわち空気の動くエネルギーに過ぎない。クラックから流れ込んでくる異世界からのエネルギーが、空気を動かすのか。

 

 とすると、花畑にクラックがあるのかもしれない。期待と不安を抱えながら足を向ける。

 

 「クラックはどこかな・・・。」

 「モンド、探知器とかは持ってないの?」

 「大型のやつがラボにある。」

 「つまり無いのか。」

 

 穴と穴は近づくと融合して、だんだんと大きくなっていくらしい。そうなると人や物も通れるほどのゲートとしての役割を持つ。

 

 それが大規模なものになると、世界が繋がって、最終的に世界同士が衝突するという。それはゲームをクリアした遊馬にも憶えがある。

 

 そうそうゲームといえば、

 

 「敵か。」

 「久しぶりのバトルだね。」

 「今度の敵は、どのゲーム出身?クラゲみたいだけど。」

 「シューティングゲームの敵だな。あんまりやらないから知らないんだけど。」

 

 クラックから敵がやってくることもあるんだった。気づいた時にはすでにエンカウントしていた。

 

 まあ特筆事項もなく戦闘終了だが。

 

 「よし、楽勝!」

 「よくよく考えたら、敵がこうして湧いて出てくるのもクラックのせいなんじゃない?」

 「そうか、ゲームPODがクラック発見器でもあったのか。」

 

 なんと、既に持っていた。元々は敵を警戒するためだけの機能だったのだろうが、逆に言えば反応する場所に近づくほど、クラックもあるということ。

 

 しかし、本来なら安全のための装置なのに、危険の方にあえて向かっていくことになるなんて。塞翁が馬というやつだろう。

 

 「それにしても、この花畑ってどこまで続いてるんだろうね。」

 

 地平線の先まで花が見える。地平線と言うか、ただ単に何もないだけなのかもしれないが。

 

 時折はなが風にそよがれて揺れている。

 

 「じゃあ、あっちのほうか。」

 

 クラックから風が漏れている。

 

 「あったよ!クラックが!」 

 「でかした!けど、閉じる方法ってなにかあるのか?」

 「え、遊馬用意してないの?」

 「してない。と言うか、クラックを閉じるシーンなんてないし。」

 「? あるぞ。」

 「え、あるの?」

 

 モンドは、手首に巻いた腕時計のようなデバイス、『クロノバインダー』を、空中に開いた赤紫色の割れ目に近づける。

 

 「時間と空間を圧縮すれば、クラックの隙間は狭まる。後は時間の自然治癒力によって勝手に塞がる。」

 「かさぶたみたいですわね。」

 「え?そんなことできたの?」

 「知ってるんじゃないのかよ、お前は?」

 「知らない・・・。」

 

 少なくとも遊馬は、クロノバインダーにそんな機能があったなんて初めて知った。ゲームで描写されないだけで、そういうシーンがあったのかもしれない?

 

 まあ、一旦考えるのは保留しておこう。ともかく一件落着で帰ろう。

 

 「あれ、アスマどうしたの?」

 「ちょっと、ミステリーサークルを見て行こうかなって思って。」

 「ああ、あれね。」

 

 ミステリーサークル、それを見る度にレイを思い出すけど、忘れたくはない。

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