ダークリリィ:ゲーマーの僕が有名ゲームキャラたちと同じ空間に詰め込まれた件について   作:バガン

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第50話

 「っと、ただいま!秘匿回線の周波数なら使っていいってさ。」

 「よしきた。」

 

 カチャカチャとトビーが機械をいじると、秘密の電波を放つビーコンが完成する。

 

 「セット・・・OK!」

 「じゃあ、今回の目的はこれで完遂かな。」

 「そうですわね、帰ります?」

 「帰るっつっても、なかなか大変な距離だぞ。」

 

 帰るなら宇宙を渡って、軌道エレベーターを降りて、リニアに乗る必要がある。

 

 「それももうラッピーのロケットを使った方が早いだろうね。」

 「らっぴ!」

 

 実際、最初はそれでオービタルリングまで来たし。ラッピーのロケットは、多少手狭でもGをほとんど感じずに、あっという間に宇宙にまで飛んでこれた。

 

 今回ここまで来るのに軌道エレベーターに乗ってきたのも、正規ルートをたどるためという目的があったからだ。今度からはラッピーのロケットを使おう。

 

 『ん?』

 「どうしました、エルザさん?」

 『動体反応・・・なにか来るよ!』

 「何かって?」

 「ボスでしょ。」

 

 それはすぐに扉の外までやってきた。全員身構える中、扉をガンガンと叩く衝撃が響いてくる。

 

 「あれは・・・。」

 「レベリオンか?」

 

 鉄の扉を破って姿を現したのはカサブランカとよく似たメタルの巨体。まるでゾンビのようににじり寄ってくる。

 

 『あれは、兵隊レベリオンのようね。』

 「生きてる・・・んだろうか?」

 『生きてはいないわね。命令に反応してるだけ。』

 

 グゴゴッ・・・とレベリオンもこちらを見止めたようだ。それまでの緩慢な動きとは打って変わって、戦闘モードに切り替わる。

 

 さあ戦闘開始だ!

 

 「まずは・・・。」

 

 と、いつものように戦略を立てようとした瞬間。敵レベリオンは手にしたライフルを撃ってきた。それはまるでめくら撃ちのように乱雑に放たれたが、驚くべきことはその点ではない。

 

 「あれ・・・避けられた?」

 「何避けてんだよモンド。」

 

 行動順が一番遅いはずのモンドが普通に動いている。というか、全員行動順とか無視して動けている。

 

 「これは、ルールが変わったのかな?」

 「と言うかリニアの時も普通にみんな好きに動いてたね。」

 「RPGがアクションRPGに進化したのかな・・・まあいいや。」

 「よくはないだろ。」

 

 これも世界の融合のせいか?兆候はバミューダとの戦いの頃からあったような気もするし、リニアでの戦いでもみんな好き放題やってた気がする。

 

 『とにかく、私たちが前に出るね!』

 「頼んだ!」

 「いきますわよー!」

 

 ともかく、目の前の戦いに意識を戻そう。銃を乱射するレベリオンに、カサブランカは突貫していく。

 

 「レベリオン同士の戦いか・・・。巻き込まれたくないな。」

 「邪魔にならないように隠れておこうか。」

 「お手並み拝見・・・。」

 「らぴ。」 

 

 『レベリオンの基本は格闘戦!手と足は殴るためについている!アチョー!』

 「あちょー!」

 

 ライフルの銃口を、自分へ向けさせないように掴みながら、鉄拳による攻撃を加えていく。

 

 『レベリオンの弱点は、人間のそれとほぼ同じ。クラッシュ!』

 「くらーっしゅ!」

 

 パイルバンカーで兵士レベリオンの胸を貫き、トドメを刺した。動かなくなったレベリオンを脇に倒す。

 

 「これで・・・終わり?」

 『いえ・・・まだのようね。』

 

 壊れた扉の先からは、わらわらとロボットの群れがやってきている。

 

 「全部で何機いるかわかります?」

 『およそ20機ってところかしら?まだいける?』

 「は、はい!」

 『よろしい!』

 

 美鈴はしり込みするが、歴戦の勇士たるカサブランカにはこの程度物の数ではない。

 

 『ちょうどいい機会だから、美鈴ちゃんも戦い方を覚えてね!』

 「わかりました!」

 

 しかし、勉強熱心なのが美鈴のいいところだ。思い切って美鈴も戦いに挑んでいく。

 

 『まずはひとつ、次!』

 「はい!」

 

 軽くいなしつつ手刀で腕を切り落とすと、一体目はすぐに動かなくなる。すぐさま2体目を蹴り倒し、3体目に殴りかかる。

 

 カサブランカには対レベリオン格闘術のスキルがプログラミングされており、エルザの思うままにそれらは発動する。しかし、より完全にそれらを発揮させるには、搭乗者の反射神経と感性が不可欠となる。戦いをこなせばこなすほどに、カサブランカは強くなっていく。

 

 『そりゃそりゃそりゃー!』

 「ハァ・・・ハァ・・・。」

 『美鈴ちゃん、まだ行ける?』

 「行けます!」

 

 おそらく元の世界では経験することのないであろう事態に、今まで使われることのなかった筋肉や神経が叩き起こされ、美鈴の体は悲鳴を上げていた。額には玉のような汗が吹き出し、手と足は震えている。

 

 だがそれ以上に、心にかかるストレスは甚大だ。箸より重い物を持ったことが無いという自称に違わず、箱入り娘の美鈴には『ケンカ』の心得がない。人を殴ったり、ぶっ飛ばした経験が無い。元々そんなものあっていいものではないが。

 

 振るわれるのはカサブランカの鉄の拳である。にもかかわらず、衝撃が手には返ってくる。この未知の感覚に、心の底から湧き上がる感情に、美鈴は震えた。

 

 『ラスト!』

 「これで・・・終わりっ!!」

 

 そうこうする間に、あっという間に20体を倒しきった。

 

 『お疲れ、美鈴ちゃん。』

 「はい・・・ふわぁ・・・。」

 

 美鈴はレバーを離して倒れ込んだ。モーショントレースを切ったことでその醜態を晒すことはなかったものの、カサブランカは機能を停止する。

 

 「・・・帰ろうか?」

 『ちょっとドライすぎない?言う事ない?』

 「ああ、お疲れ様、2人とも。」

 『ほんとにそれよ!』

 

 操縦能力を、レバーを離した美鈴から自身に切り替えたエルザが、ふっふん!とでも言いたげなようにふんぞりかえる。その姿は、先ほどまで荒々しく戦っていた戦鬼とはまた違う姿だった。

 

 「美鈴、強くなれると思う?」

 『なれるわ。スジがいいもの。』

 

 今は死んだように倒れ伏しているが、次に目覚めたときは、より強くなっていることだろう。

 

 今はただ休め。

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