ダークリリィ:ゲーマーの僕が有名ゲームキャラたちと同じ空間に詰め込まれた件について   作:バガン

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第54話

 ネプチューンの中での生活が2日ほど経過した。その間にレベリオンパイロットたちとも交流を深め、今は談話室で話し込んでいるところだった。

 

 『本艦は、まもなく八卦島ロケット基地へと寄港します。繰り返します・・・。』

 

 「八卦島?ロケット基地?」

 「ああ、宇宙行くんだよ私たち。」

 「宇宙に?」

 

 まさか現実の方でも宇宙に行くことになろうとは。しかし、なぜ宇宙に?というか、僕も行くの?

 

 「宇宙へ調査に上がるのは我々だけです。」

 「そっか、でもなんで宇宙に?それに、宇宙に上がるなら軌道エレベーターを使えばいいんじゃない?」

 

 使い捨てにするシャトルも燃料いらないのが軌道エレベーターの利点のはずだったろうに。

 

 「我々のレベリオンの推力では、大気圏突破は出来ませんから。それに、我々の行動は秘密裏に行われなければなりませんから。」

 「人員の移動だけならエレベーターでもいいんだけどね。」

 

 こうした、ヘイヴン所有の秘密のロケット基発射場は世界中にいくつかあるという。エレベーターがあっても、ロケットを使う人は使うのだという。例えば、秘密裏にレベリオンを宇宙へ移動させるためとか。

 

 「最初から宇宙用のレベリオンを宇宙においておけば、いちいち持って上がる苦労もしなくていいんじゃないの?」

 「そんな資金も資源も無いんです。」

 「毎回ロケットを打ち上げるのと、どっちが安く済むと思う?」

 「まだロケットの方が安上がりしてますね。」

 「そんなにレベリオンって高いのか・・・。」

 

 戦闘機10機分くらいかな?だとか、そんな安易に想像できるような値段ではないらしい。

 

 しかし、秘密裏に宇宙へレベリオンを上げるにしても、ロケットなんか打ち上げたら、噴射熱で一瞬でバレると思うんだが。

 

 「ああ、『ロケット基地』って名前は名残。実際に使うのは『マスドライバー』だから。」

 「なるほど、マスドライバーか。」

 

 マスドライバーとは、要するに宇宙までとどくバカでかい大砲だ。レールガンの要領で、主に物資を輸送するために使われる。

 

 「軌道エレベーター建造の資材を打ち上げるのに使っていたものを再利用しているんです。」

 「人間が乗り込んだら一瞬でGでペチャンコになるだろうけど、レベリオンに乗っていれば別。」

 

 いかにレベリオンと言えども、一度発射されたマスドライバーの弾丸を打ち落とすのは不可能。レーダー網を張っておけば事前に敵の接近にも気づけるし実際安全だ。

 

 「・・・で、なんで宇宙に上がるの?」

 「出発する前に司令に説明されていたでしょう?」

 「聞いてない。」

 「そうだっけ?」

 「そうだよ。」

 

 大体話は自分のいないところで進められている。いくらゲームで現実を変えることしかできないとはいえ、疎外されているのは心地よくない。聞かされたところで現実では何も出来ないだろうと言われればそうなのだが。

 

 「秘密保持のためです。今回の任務は、特に秘匿性が高いですから。」

 「もう話してくれていいんじゃないでしょうか?」

 「遊馬の用意したビーコンが見つかったんだよ、宇宙で。」

 

 正確にはトビーが作ったんだけど、それを知ってるのは遊馬だけだし何も言わない。

 

 「やはりまだ宇宙にあったのか。」

 「そう。で、それを調査しに行くのが今回のミッション。」

 「宇宙に人員いないんですか?」

 「人材不足よ。」

 

 本当にヘイヴンは国家組織なんだろうか。国際救助隊だって宇宙に主要メンバーを配置していたのに。

 

 「宇宙に着いたら、レベリオンはそのまま発進。月に向かうわ。」

 「月?」

 「信号は月から発せられているのよ。」

 

 たしか月にも基地があるはずだが、そこが接収しちゃうかもしれない。急がなければならないだろう。

 

 しかし宇宙へ行くのか・・・さしあたって遊馬に出来ることはないだろう。戦闘となればなおのことだ。ここは、お言葉に甘えてお留守番をさせていただこう。

 

 「ねえ遊馬、ちょっと風を浴びに行かない?ずっと潜りっぱなしだったし。」

 「風?」

 

 どうやら、艦は海面に出たらしい。もう間もなく八卦島ドックに入ることになるだろうが、一足早く外の空気を吸いに行くのも悪くはない。

 

 「ん~っ・・・いい天気ね。」

 

 白い波をかき分けて進んでいく先には、空へ向けて曲線を描く橋が見える。あれがマスドライバー、上に向かって落ちていくジェットコースターだ。

 

 「ジェットコースターは好き?」

 「うーん、嫌い。」

 「じゃあお化け屋敷も嫌い?」

 「お化け屋敷は平気。」

 「本当?」

 「ホラーゲームには強いし。」

 「ホラーゲームとお化け屋敷は違うでしょ。」

 

 実際のところ、遊園地なんて何年も行っていない。エンターテイメントならゲームで間に合っている。

 

 「ねえ、たまには外に出てみるのもいいと思わない?こんな風にさ。」

 「外は外でも、ここからはどこにも行けないよ。」

 

 実際、島に着いたところで遊馬にはどこにも行けない。

 

 「よし、じゃあこうしよう。今回のミッションが終わったら、デートしよ!」

 「デート?」

 「本当にお化け屋敷に強いのか、私が確かめてあげる!」

 

 ずずいっ、とシェリルの顔が鼻先にまで近づいてくる。

 

 「いいでしょ?」

 「う、うーん・・・。」

 「はい決定!楽しみにしてるからね!」

 

 返事も待たずにシェリルは一方的に決めてしまった。まあ、断るつもりもなかったのだけれど。

 

 しかし、デートか・・・。拙者、生まれてこの方年齢イコール彼女いない歴侍。当然女の子とのデートなんか経験無い。

 

 楽しみなような、ちょっと不安なような・・・。けどまあ、シェリルと一緒なら楽しくないってことはないだろう。

 

 去っていくシェリルの背中を見送りながら、色々と想像をめぐらすのであった。

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