ダークリリィ:ゲーマーの僕が有名ゲームキャラたちと同じ空間に詰め込まれた件について 作:バガン
「さっそくステータスを確認しよう。」
「これで敏捷1とかだったら俺は笑わせてもらうからな。」
「・・・まさかそんなことはないでしょう?」
「やっぱりわたくしのスキルを取った方がよかったのでは?」
「ま、まだそうだとは決まってないから!」
「いいから早く確認しようよ。」
【片桐遊馬】
HP:500
DEX:8
INT:9
STR:9
「・・・まあ、悪くないんじゃありませんの?」
「いっそ全部1なら笑いのタネにもなったものを。」
体力が500あるなら壁ぐらいにはなるか。
「も、問題はスキルの方でしょ?!」
「スキル持ってるの?」
「これでスキルも微妙だったら荷物持ちな。」
「そんなことない!さあ来い神スキル!」
特殊スキル『プレイヤー』:味方の手番中、自由にアイテム・スキルを使える。この効果は1サイクルにつき1回しか使えない。
特殊スキル『アヴァター』:基礎ステータス強化スキルを+18まで強化できる。
「ほら、二つもあった!すごいでしょう??」
「プレイヤーとアヴァターね・・・。」
(どっちもアスム自身のスキルではないと思うけど。)
(しっ、黙っておきましょう。)
プレイヤーは、アヴァター獲得前から使えたようだった。これがあれば、実質DEXを無視して味方の補助に回ることが出来る。アヴァターの方は、強さの限界を底上げできるようだ。ゆくゆくは勇者らしく先頭に立つことも出来るようになるだろう。
「じゃあつまり、どっちにしろ今は荷物持ちってことだな。」
「ん、まあ・・・たしかに。」
「じゃあ、アイテムの再分配で、回復アイテムも多めに持っておいてね。」
「・・納得いかないなぁ!」
「せめて払ったポイントの分ぐらいは働いてくださいね。」
覆水盆に返らずとはこれ。まあ、我儘を通してもらったんだから、ありがたく持たせてもらっておこう。
「で、次はどこへ行けばいいんだプレイヤーよ。」
「普通に名前で呼んでほしいな・・・。回復ポイントと言えば、保健室かな。活動の拠点になるかもしれないし、あそこにも何か変化があるかも。」
こういう時は、隠し要素やイベントのフラグがあったりするから、ゲーマーとしてもくまなく探索しておきたい。どうか敵とエンカウントしませんように。
「マップは・・・ん?」
自然と歩みが遅くなっていた遊馬の後ろに歪みが現れるが、気づくのが遅れた。またあの戦闘アンドロイドが現れると、間髪入れずに攻撃を仕掛けてくる。
「奇襲攻撃か!」
『ギギギギギ!』
後方からの奇襲攻撃!敵全員は1ターン自由に動ける。
「でも今一番後ろにいるのはアスマだから・・・。」
「狙われるのもお前だな。」
「そんなー!」
「ちんたら歩いてたるからだろ。」
歩きスマホ、並びに歩きゲームはやめましょう。
「さっそく壁②役として役に立てると思えば・・・。」
「出来ればカッコよく敵を倒す役がよかったけど、まあいい。さあかかってこい!」
出てきた敵は、今回は近接タイプのアンドロイドが2体。どちらもスタンロッドを抜いて、遊馬に殴りかかってくる!
「ぎゃびびびびびびび・・・!し、シビレた・・・。」
「もう一体来るぞ。」
「あぎゃああああああ!!!」
初攻撃の前に、初ダメージを受けてしまった。その痛みは、これがただのゲームではなく、現実として起きている現象だという事を思い出させた。
「大丈夫?」
「へ、平気・・・。ダメージはどれぐらい受けたんだろうか。」
膝はついてもゲーム機は手放さない。現実なら気絶必死どころか、命の危険もあるような攻撃を受けた気がするが、今こうして生きていられるのは、アヴァターになった効果だろうか。
【片桐遊馬】
HP:440/500
一回30は喰らったのかな?ダメージのルールがよくわからない。
(ステータスに防御力の項目は無かったし、STRの対抗なのかな?そこに武器の威力を加算ってところかな?)
あくまで落ち着いて、頭を巡らせてみる。ステータス上のINTは決して高くないけれど、ゲームの知識までは抜け落ちていないはず。
ゲームPODの画面から、ステータスを確認してみる。
「敵のステータスは・・・一回戦った相手なら、図鑑とかないかな。」
果たしてそこにあった。
【アンドロイドマン】
HP:120
DEX:5
INT:5
STR:10
武器についてのデータは載っていない。
単純に『攻撃側の攻撃力ー防御側の防御力=ダメージ』の計算式なら、10-9=1の、さらに武器攻撃力を掛けて30になったと考えるべきか。
(でもモンドの受けたダメージが10だった。最低でも10は喰らう仕様なのかな?)
でもモンドが受けた攻撃は銃撃だった。銃にSTRは関係あるんだろうか?
そもそも、モンドのHPは本当に9999なんだろうか?オーバーフローして10000以上ある可能性もある。実際は10以上のダメージを受けていた可能性も・・・。
「うーん・・・考えれば考える程謎になってくる・・・。」
「何やってんだ。もう終わったぞ。」
「えっ、もう戦闘終了?」
「また置いてかれるよー。」
「待って!もう奇襲喰らうのは嫌だ!」