ダークリリィ:ゲーマーの僕が有名ゲームキャラたちと同じ空間に詰め込まれた件について   作:バガン

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第60話

 『司令、戦闘終了しました。』

 

 「了解、回収する。」

 

 窮地を脱したネプチューンは、息継ぎをするように海面へと浮上する。

 

 「上がったり沈んだり忙しいな。」

 「二度と上がってこないよりはいいさ。」

 

 格納庫ハッチを開けて2人の機体を格納すると、再び潜水を開始する。追撃の可能性を考え、一刻も早くこの海域を脱する必要がある。

 

 「さてこういうわけだが、信じてもらえただろうか?」

 

 クリス司令は、遊馬に語りかける。その顔は自信満々というか、誇らしげだ。

 

  シェリルとセシルの2人は、戦略兵器のようなアーマーギアを装備した敵レベリオンを相手に勝利をつかみ取った。

 

 機体の性能差がどれほどのものだったのかよくわからないが、すくなくともアニメで例えるならワンオフ機と量産機との性能差ぐらいはあるんだろうが、その戦力差をものともしないほどの腕前、そしてチームワークを見せつけられた。

 

 信頼は行動で示せ、そういえば遊馬もそういう意図をもっていた気がする。

 

 「信じますよ。みんなのこと。」

 「ならよかった。迎えに行ってあげると良い。ついでに、こちらに来てくれるのは少し休んでからでいいと伝えてくれるかな。」

 

 メッセンジャーボーイになった遊馬は、足早に格納庫へと足を向けた。

 

 「だから、当初のプラン通りだったでしょ?」

 「なってないわ!作戦が台無しよ!」

 

 と、そんな騒がしい声が聞こえてくる。

 

 「宇宙に上げる予定の機体を、地上に降ろしてどうするのよ。」

 「でもそのおかげで勝てたでしょう?臨機応変に対応した結果だよ。」

 「はぁ・・・その臨機応変の代替案を誰が考えるの?」

 「ヨロシク、リーダー!」

 「はぁ・・・。」

 

 いたいた。なにやら口論しているようだが、遊馬の存在を見止めるとシェリルは駆け寄ってくる。パイロットスーツの胸のジッパーを下ろしながら、なにやらニヤニヤとしながら。

 

 「遊馬、迎えに来てくれたの?嬉しいじゃん。」

 「2人とも無事でよかった。」

 「心配してくれてた?ありがと!」

 「その必要はありません。あの程度の相手など、苦戦する要素も無かったですから。」

 

 ふっふん!と胸を張るシェリルに対して、セシルは涼しい顔をしていた。この二人、いやチームには造作もないことだったのだろう。

 

 「ふーぅ!それにしても、なんか戦ったら暑くなっちゃったかな・・・先にシャワー浴びたい。」

 「まだ報告が終わってませんよ?」

 「ああ、少し休んでからでいいそうです。司令がそう伝えるようにと。」

 「だってさ!じゃあ私先に部屋戻ってるから。後で来てね遊馬。」

 「なんで?」

 「ちょっと『オハナシ』があるから♡」

 

 じゃねっ、と投げキッスをシェリルは撃ってきて、遊馬のハートはドクッと重い音を立てた。気圧の変化のせいではないだろう。

 

 「・・・まあ、仲良くね。」

 「え?でも、お話って一体何を?」

 「それは本人から聞くことですね。私も一休みしますから、静かにしていてくださいね・・・。」

 

 静かに?何を?まあ、シェリルはゲーム中もうるさかったし。頭の片隅に入れておこう。


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