ダークリリィ:ゲーマーの僕が有名ゲームキャラたちと同じ空間に詰め込まれた件について 作:バガン
「と、いうわけなんですけど、どうしたらいい?」
「メシどきに聞く話ではないな。」
「現実世界とゲーム世界の時間の乖離がどれぐらい進んでるのか確かめる目的もあって。」
「そうか。こっちはまたしばらくあったぞ。」
ところ変わって、ゲームの世界の食堂にて仲間たちに今後の是非を相談しようとしていた。
相変わらずモンド特製のラーメンを皆がすすっているが、この場にいる中で雄二とエルザだけは初めて食べたことになる。その両名とも涼しい顔で食べているが、この二人には味覚が無いせいだ。
「それでもまあ前よりは食べられるようになってるよ?」
「それでもいらないかな・・・こっちで食べても現実はお腹は膨れないし。」
悲しいかな、現実にいた時間がが長すぎてゲームの中で行える行動に意味を見出せなくなってきている。スナワチ、」ゲームを楽しむという鼓動ができにくくなってきているという事。
「・・・やっぱ、貰おうかな。」
「へい、まいど。」
そうして運ばれてきたラーメンもどき・・・いや、具材もしっかり彩りを与え、麺も茹ですぎていない。なにより、香りもいいものになっている。
「どうだ?俺にかかれば料理のレベルアップなんてこんなもんだ。」
「・・・普通かな。」
うますぎず、まずすぎない、普通の味だ。というか、醤油ベースではなく醤油そのものだった味はそんなに変わってない。
「料理は味だけじゃない、見た目や匂いも重要だ。味覚が無くなってもそれは楽しめる。」
「それに、一緒に食べる人もね。はい、あーん。」
「だからってオレに食べさせなくていい。自分で食える。」
カサブランカの2人の仲はラーメンより熱い。
「じゃあそのお熱い2人に聞くけど、僕はなにすればいいと思う?」
「シャワーを浴びてパンツを替える。」
「エルザ、僕はどうすればいいかな?」
「ふーん、そのシェリルっていうのはどういう子なのかな?」
多分雄二なりの渾身のボケだったのだろうけど、華麗にスルーされて吽形のように固まっている。
「・・・って言ってたかな。」
「ふーん、なかなか重い過去をお持ちのようね。」
「どう、女の意見は?」
「戦士の意見も必要になるだろうな。仲間と共に死に損なった、生き残ってしまった、な。」
遊馬は男で、一般人だ。どちらの意見もありがたい。
「シェリルは大切な人を失ったんでしょう?兄弟家族にも近いような仲間、その温もりが欲しいんじゃないかな。」
「男と女じゃなくて?」
「関係は男と女だけじゃないの遊馬クン?例えば私と雄二の関係に当て嵌めると、遊馬のことは弟みたいに思ってるんじゃないかな。」
「妹居るのに?」
「姉は弟が欲しいもんだって。それ以上の関係にしたければ、遊馬の方から踏み込んでいくことね。」
「いや、別にそうしたいわけでは・・・。」
「ないの?」
「・・・なくはない、かな?」
純情派、奥手、草食系ときた遊馬にはちょっと難しい話だが、少なくとも可能性はマイナスではない。シェリルを『攻略』するのも『ゲーム』だと考えれば・・・リセットは出来ないが、選択肢を考える余地はある。
「じゃあ、戦士としては?」
「俺の戦士としての意見だが、なまじ生き残ってしまった後悔が、危険に身を晒すスリルを与えているという点で共感できる。」
「危険に身を置くことでしか、生を実感できないということか。」
モンドが仮説を立てて、雄二がそれを補強する。
「なるほど・・・。」
「でも、あくまで仮説だからね。一番重要なのは、遊馬がどうしたいかだよ。」
「アスマは、シェリルと仲良くなりたいだけ?まあ皆まで言うない、アスマの考えはきっと間違ってないだろうから。」
「そう?」
「アスマはそういう星の元に生まれてるんだよ、きっと。」
選択肢で間違わない星とかだろうか。ゲームには役に立つけど、現実でもそうなのかどうかなのかは・・・。
「やってみればわかるか。ありがとうみんな!」
「おう、がんばれよ。」
「失敗しても慰めてあげるくらいなら出来るから、まあ気張っておいで。」
さて、ゲームをやめて現実に戻る時だ。