ダークリリィ:ゲーマーの僕が有名ゲームキャラたちと同じ空間に詰め込まれた件について   作:バガン

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一応今回にて3章終了です


第62話

 「よし・・・いくか。」

 

 腹をくくってシェリルの部屋の前までやってきた。一応雄二に言われた通りシャワーは浴びてきたが、パンツも新しくしたが支給品の地味な奴しかない。今度デートとして外に出られるなら、服も新しいのが欲しい。

 

 ・・・今までに、新しい服が欲しいと思ったのは初めてかもしれない。大体家の中ではスウェットで過ごしていたし。これもまた進歩か。ともあれ、一度家に帰ることが出来れば、色々ゲームをとってくることが出来る。一回家がどうなっているかも確認しておきたい。

 

 さて、それよりもまずは目の前の問題に対処するとしよう。オハナシとは一体何のことなのやら。

 

 「来たよシェリル?」

 『お、入って入って。』

 

 部屋にお邪魔すると、まずふんわりとした匂いが鼻をくすぐった。

 

 「ようこそ!さあ座って座って!」

 

 次に視界に入ってきたのは、バスローブ姿でくつろぐシェリルの姿。チラリズムする脚がなまめかしい。

 

 「ゴクン、それで一体なにを?」

 「私と、一勝負してくれない?」

 

 やはり来たか!このために用意をしていたと言っても過言ではない。

 

 「その・・・僕初めてなので、優しくしてね?」

 「ん?ポーカーなら前一緒にやったじゃない?」

 「えっ。」

 「うん?何を想像していたのかなー、このおませさんは??」

 

 勝負って普通にゲームのことなのかよ。

 

 「でもまあ、私に勝てたらなんでもお願い聞いちゃってもいいかもしれないけどねー?どうする?賭けちゃう?」

 「・・・じゃあ、賭ける。」

 

 前はこっぴどく負けたことを忘れて、シェリルの勝負に乗じた。

 

 「スリーカード!」

 「フルハウス♡」

 

 そして案の定負けた。

 

 「もっと燃え上がるようなバトルが欲しいな・・・。」

 「ならカードをすり替えるのやめなよ。」

 「ナンノコトカナ?」

 

 あからさますぎるぐらいに手札を入れ替えている。つい遊馬が視線をずらしてしまっている隙に。

 

 「さーてと、負けた遊馬クンにはどうしてもらおうかな?」

 「ぐぬぬ・・・。」

 

 前はパンツ一丁まで剥かれてしまったが、今回はどんな恥ずかし目を受けるのか・・・。パンツ替えといてよかった。

 

 「だから一体何を想像しているのかな。」

 「また身ぐるみ剥がされるのかと。」

 「しないよそんなこと?」

 「ほんとに?」

 「してほしかった?」

 「期待はしてました。」

 「素直でよろしい。」

 

 ちょっと肩透かしを食らった。というか何、僕が悪いみたいになってない?大丈夫?

 

 「まあまあ、冗談はさておきもう一戦もう一戦!まだまだ戦い足りない!」

 「戦い?」

 「うん、さっきの戦いの熱がまだ残っててね、火照っちゃってるの。」

 「なるほど・・・。」

 「普段ならみんなと遊んでるんだけど、今は誰もいないから遊馬に付き合ってほしかったってわけ。」

 

 思ったよりも戦闘に貪欲なようだ。シェリルは巧みな指さばきでカードをシャッフルする。

 

 「じゃあ、ここからはルール変更で。私のイカサマに気づけたら遊馬の勝ちでいいわ。」

 「したのか、してないのかを見抜けってこと?」

 「そういうこと。イカサマしたかしてないかのアンサーには、正直に答えるわ。」

 「言っておくけど、これでもゲームには強い方なんだからね?」

 「ふふっ、どうかな?カットして、好きに配ってどうぞ?」

 

 少なくともイカサマ無しの真っ向勝負では負ける気がしない。

 

 「ちらっ?」

 「ぐっ・・・。」

 「どうやら運はこっちがいいみたいね。」

 

 見えた!・・・別にいいものではない。シェリルはまたわざと手札をチラ見せしてきてブラフを仕掛けてきている。今見えたのはジョーカー・・・最強の手札にも、他の何者にもなれる。すなわち、シェリルの手は既にペアが確定している。

 

 対してこちらはというと、スペードのKが一枚あるだけの役なしペアなし、ブタだ。このままでは負ける確率が高い・・・。素直にチェンジするか。

 

 「3枚チェンジで。」

 「どうぞ、こっちはノーチェンジ。」

 

 チェンジしない、ということはやはり何かしらのイカサマを・・・いや、ジョーカーを引いたことで強気に出てるだけで、実際には本当になんのイカサマもしていないのかも。

 

 (ぬっ・・・。)

 

 という考えにいったんは至ったところで、懸念材料が転がり込んできた。3枚チェンジしたところ、ペアは増えなかった。代わりに、こちらにもジョーカーが加わった。

 

 現状、スペードK以上の切り札が無いため、このKとジョーカーでキングのワンペアが組まれることとなる。そしてシェリルの手札にもジョーカーがある。まるで仕組まれたかのような状況であるが・・・。

 

 「さて、問題です。私はイカサマしたでしょーかっ?」

 「ぐぬぬ・・・。」

 

 『した』と宣言すれば、そこでしたかしてないかでジャッジが下され、『してない』と宣言すれば普通に勝負することとなる。

 

 したかしてないかだと、してないと思う。最後に触ったのは僕の方だし、配ったのも僕だ。いやでも、カットするところまで計算ずくで山札を渡してきたとすると・・・そんな手先の持ち主に対して勝負を挑んだのが間違いだったとしか言いようがない。。

 

 「イカサマは・・・してないと思う。」

 「ほう?」

 

 そうなると必然的にワンペアで勝負することになる。これもまた分が悪い勝負だ。でもまあ他に選択肢が無い以上、勝負するしかない。

 

 「よろしいかな?それでは・・・。」

 「ワンペア、キングとジョーカーの。」

 「ワンペア、キングとジョーカーの。引き分けね。」

 

 ふふっ、とシェリルが笑った。

 

 「・・・仕組んでた?」

 「さあて?ネクストゲーム。」

 「待った、シャッフルは僕がやる。」

 「アーハン?どうぞ?」

 

 シャッフルする、と言ってもその仕方については言及していない。

 

 遊馬は、1枚ずつカードを並べていき、10枚置いたらもう一周・・・いわゆるショットガンシャッフルを行った。

 

 「53枚しかない。1枚足りないんですけど?」

 「さあ?」

 

 ジョーカー2枚含めて53枚なら、ババ抜きは出来そうにない。遊馬の問いかけに、素知らぬ顔でシェリルは並んだカードを纏めた。何が足りないカードなのか確かめるタイミングがかなかった。

 

 「じゃあもう一戦。今度はどうかな?」

 「・・・当ててみようか。」

 「ん?」

 「足りないのは、ハートのクイーン。」

 「根拠は?」

 「勘。」

 「そう・・・。」

 

 勘とは言ったが、足りないカードがハートノクイーンだという確信はある。ハートのクイーンは以前ババ抜きをした時にも最後までシェリルの手札に残っていたが、それは遊馬が『キズがついたカード』を選ばなかったからに他ならない。そして、並べた時に確認したが、そのキズがついたカードは見当たらなかった。

 

 さてその発言に対して、シェリルは素っ気ない反応を見せたが、一瞬視線が下を向いたのを遊馬は見逃さなかった。つまり、下のほうにある。

 

 「じゃあさ、私がその1枚を隠してたとして、それはどこに仕舞ったと思う?」

 「・・・袖。」

 「無い袖は振れないわね。」

 

 シェリルは両袖ともまくっているので、それはない。けど他に目につかずに隠せる場所と言えば・・・。一か所しかない。

 

 「ほれほれ?どこに隠してあるっていうのかな?」

 「その・・・えっと・・・。」

 「んん~?」

 「・・・胸元。」

 「キャー!どこ見てんのよー!」

 

 シェリルは驚いたようなセリフを吐くが、そこに一切の感情は乗っていない。明らかに茶化してきている。

 

 「それより、本当にあると思うなら調べてもいいわよ?」

 「それは・・・。」

 「逆だわ、調べてくれないとゲームが進まないわよ?」

 「ぐっ・・・。」

 

 墓穴を掘ったかもしれない。いや、とても嬉しいことなのだけれど、明らかにこちらの反応を見て楽しんでいる。

 

 「ほら、触ってみ?」

 「くぅ・・・こんな・・・。」

 「ね、触ってよ・・・。」

 「い、いいとも!触っちゃうぞ!」

 「うん・・・。」

 

 ええい、この部屋に来た時にすでに腹はくくっていたのだ。触るぐらい、今更なんだというのか。意を決して未開の園へと手を伸ばす。

 

 あくまで目的は隠したカードを探すこと、バスローブから見える谷間に手を這わせる。

 

 「・・・どう?」

 「温かい・・・。」

 「他には?」

 「・・・ハート、ちゃんと動いてる。」

 「うん・・・ちゃんと生きてる。」

 

 この胸の中で、心臓が拍動しているのを確認する。

 

 「シェリルってさ、戦いの中でしか生を実感できないとか、ない?」

 「んー・・・そうかも。」

 「その・・・うまく言えないけど、ゲームでなら僕も付き合えるから。」

 「うん、ありがと・・・。」

 

 結局、ハートのクイーンは見つからなかった。けど、シェリルとの仲が一歩前進した。

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