ダークリリィ:ゲーマーの僕が有名ゲームキャラたちと同じ空間に詰め込まれた件について   作:バガン

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第66話

 一旦、ゲームPODネクスを置いてシェリルの案内に連れられて、情報室にやってきた。

 

 「ここって?」

 「パトリシアのフィールド、かな。あの子プログラミングが得意だから。」

 

 いくつものPCが並んで、そこで作業する人あり。その奥に、ゲームセンターにおいてある100円のゲームのような筐体あり。

 

 「これか、シミュレーター。」

 「そう、これ作ったのはアリサも手伝ったんだって。」

 「2人ともすごいんだなぁ。」

 「すごいでしょ?」

 「なんでシェリルが誇らしげなのさ。」

 

 筐体はレベリオンのコクピットブロックを模している。というよりも、コクピットブロックをそのまま再利用したらしい。一部に傷が入っていたり色あせていたり、元の機体が潜り抜けてきた年季がうかがえる。

 

 「見た目はボロいけど、中身は常にアップグレードしてあるよ。私だってテストには付き合ってるし。」

 「なるほどなるほど・・・。」

 

 促されるまま座ってみると、シートはかなり使い古されてカタがついている。レバーやペダルを触ってみるとすり減ってツルツル。だが目の前の画面はピカピカだ。ピカピカしすぎて眩しい。

 

 「あれ、動かし方わかるの?」

 「ちょっとだけ、ゲームの世界で動かしたから。」

 「ふーん、じゃあ飛行訓練からやってみる?」

 「え、でも歩けてもいないんだけど?」

 「大丈夫、歩くよりも飛ぶ方が簡単だから。」

 

 筐体のハッチをシェリルは勢いよく閉じると緑のランプが点灯して、遊馬の視覚に滑走路が映し出される。最新のVRゲームよりもリアルな、まるで本物のような景色だ。

 

 「わぉ・・・。」

 『そこのヘッドセット着けて!』

 「OK、楽しくなってきた。」

 『ならいいけど。ゲーマーさんはどう動く?』

 「えーっと・・・このペダルかな?」

 

 ゲームの中では、腕の動かし方ぐらいしかやらなかったけど、大体感覚で掴める。人間の基本的な動作はモーショントレーサーが反応してくれる。となると、ペダルやスイッチの働きは、人間が本来不可能な動き。すなわちバーニアを吹かしたりすることに他ならない。

 

 と、そこまで判断できたのはいいものの。ペダルを踏みこんだところで視界が真っ暗・・・正確には中央に黒、両端が灰色になってしまった。しかもシートやレバーがガタガタと揺れまくり、座っていることもままならなくなる。

 

 「あばばばばばばばばば。」

 『あちゃー。』

 「とめてぇえええええええ。」

 『もう、止まってるから。』

 「ほわぁああああああああ。」

 

 シェリルが非常停止スイッチを押すと、途端にモニターは消灯してシートは大人しくなる。が、情報室には遊馬の阿鼻叫喚の声が響く。

 

 「一体何の騒ぎですか?」

 「もう終わったことなんだけどね。」

 「死ぬかと思った・・・。」

 「うん、実際2回ぐらい死んでると思う。」

 

 前のめりに倒れたのはわかった。が、あまりに突然のことで遊馬にはどうにもできなかった。

 

 「まず、シートベルトを締めるところからね。」

 「それに、アクセルがロックされてますね。」

 

 思いっきり踏み込むとロックされるから、こういう時は2回踏んだら解除される。ロックされている間はバーニアが吹かしっぱなしになるというわけだ。

 

 制動をかけたければ、左のペダルを踏めばブレーキだ。しかし空中で急制動をかけると、当然バランスを崩すことになる。ある程度はオートバランサーが調整してくれるが、細かな機動にはパイロットの体幹とモーショントレーサーよる操作が必要になる。

 

 「つまり、体を鍛える必要があると?」

 「そう。格闘戦主体だと特にね。触ってみる?」

 「・・・いい。」

 

 制服の上からは見えないが、シェリルの足はたしかに引き締まった美しい物だった。上半身は脂肪の塊だが。

 

 「それで、どうする?もう一回やってみる?」

 「・・・やる。」

 「ふふん、いい心がけ。さすがオトコノコ。」

 

 負けたままでいるというのは遊馬には居心地悪かった。これはゲームではない・・・自分との戦いだ。

 

 きっとこの経験は、これからの人生に何か意味をもたらす。そう直感して、またシートに座ってヘッドセットをつけた。

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