ダークリリィ:ゲーマーの僕が有名ゲームキャラたちと同じ空間に詰め込まれた件について   作:バガン

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第67話

 『大分慣れてきたんじゃない?』

 「もうリングくぐりはいいかな。」

 

 空中での方向転換、急停止、垂直落下、他、基本的な飛行動作はマスターできた。この1時間、進行方向に現れるイルカの輪くぐりのような目標めがけてひたすら飛んでいた。が、いいかげんリングには飽きてきていた。車の教習だってもうちょっとバリエーションがあるだろう。

 

 『では、次は標的を撃ってみましょうか。』

 「よしきた。」

 『まずライフルを拾うところからね。』

 

 ロボットなら立ち上がって戦わなければならない。セシルがコンソールをいじって出現させたウェポンラックに、遊馬は歩いて近づいていく。勿論、VRのレベリオンの足でだ。

 

 『ストップ、勢いつけすぎ。殴り倒す気?』

 「うっ・・・。」

 『手のひらを武器にまで近づけたら、センサーが自動で掴んでくれますから。』

 

 レベリオンのセンサーの器用さで言えば、タマゴを潰さずに摘まめるぐらいの精度があるが、そこへ搭乗者が意識的に武器を掴もうとする動きをすると、モーショントレーサーが過剰反応してしまう。慣れないうちは素直に機械に任せたほうがいい。

 

 『よし、掴めたね。それで今度は的を狙ってみて。』

 「目標をセンターにいれて・・・あれ?」

 『セーフティを外してください。』

 

 レバーの指元のスイッチを押すと弾が出る。ライフルそのものにいは引き金が付いておらず、このスイッチを押すと連動して発射される仕組みだ。ともかく遊馬の撃った弾丸は、的の中央を射抜いた。

 

 『問題なさそうだね、じゃあ射撃訓練プログラムだ。』

 「よしこい。」

 

 次々に現れる的を、狙って撃ち落としていく。フォノンライフルは実弾よりもまっすぐ飛んでくれるので、弾道計算などしなくてもいい。

 

 『さすが、やるじゃん。』

 「射撃ゲームなら得意だから。」

 『ゲームではないのですが・・・。では、これなら・・・どうですか?』

 

 セシルはちょっと意地悪そうに上級ランクを選択した。標的が一斉に現れ、遊馬はちょっと慄く。のんびりひとつひとつ狙う余裕はない。

 

 「自分が動きながらテンポよく撃った方がいいのか?!」

 

 対象を照準に納めて撃つよりも、対象が照準に入った瞬間に撃っていくほうが早いと気づいた。照準の高さは固定して腕を左から右へスライドさせていくと、X軸を固定したまま動くことが出来る。そのまま流れ作業のように、照準に納められた標的を撃つことが出来る。

 

 『おお、これはびっくり。』

 『まさか、1を聞いて10理解できるとは。』

 「へへっ。」

 

 ゲームで鍛えられた感覚が役に立った。女子にちやほやされるのは、男子としては喜ぶところだろう。

 

 『じゃあ、実戦に駆り出されてみる?』

 「えっ?!それは・・・遠慮したいかと。」

 『冗談よ、これぐらいできた程度じゃ、まだまだ足手まといだもん。操縦が苦手なアリサだって、もっとうまくやれるもん。』

 「は、はぁ・・・。」

 『さらに上のトレーニング、やってみますか?』

 「う、うん、触るだけなら。」

 

 セシルがコンソールをいじると、今度は的ではなく、レベリオンのホログラフィーが現れた。遊馬が一息つく間もなく、標的は銃を向けてくる。

 

 「うわ、撃ってきた!」

 『そりゃ撃ってくるよ、敵なんだから。』

 

 慌ててその場を飛びのくが、それを予測していたかのような偏差射撃がボディに当たる。フォノンライフルが当たれば、もうこの時点でレベリオンのパイロットはミンチよりひどいことになっているだろう。

 

 「とほほ・・・。」

 『スペックはイーブン、まずこれに勝てなければ実戦なんて夢のまた夢ですよ。』

 「いや、実戦に出るつもりも無いんですが・・・。」

 『怖気づいた?』

 「正直、自信失くした。今まであった色々なものの・・・。」

 『ごめんごめん。まさかそんなに落ち込むとは。』

 

 遊馬がやっていたことも、それをやる精神も、所詮はゲームだった。一発当たれば即終わりで、コンティニューも無し。ゲームだったらとんでもないクソゲーだ。

 

 『じゃあもうやめる?』

 「いや・・・まだやる。」

 『では、今度は動きながら標的を撃つ訓練をしましょうか。』

 「ありがとう。」

 

 だからこそ燃えてきた。ゲームじゃないからこそ、ゲームとしてクリアしてやるんだ。どんな困難も、みんな楽しんでクリアするために。

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