ダークリリィ:ゲーマーの僕が有名ゲームキャラたちと同じ空間に詰め込まれた件について   作:バガン

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第83話

 「弾切れ・・・カートリッジ!」

 

 舌打ちしながら遊馬がリロードを宣言すると、ライフルのバッテリーカートリッジが自動的に交換される。武器管制システムは音声入力にも対応しており、手が回らなくても心配ない。

 

 「チッ・・・速すぎる!」

 

 だがそれ以上に人間の、遊馬の反射神経が追い付かない。相手はおそらく熟練、さらに機体のスペック差がダンチと来たもの。普通に考えれば勝てる要素が1mmもない。

 

 それでもなお遊馬が食らい付いていけているのには理由が2つある。

 

 一つは武装の相性。遊馬の機体は、ライフルにシールドとオーソドックスな装備がなされているのに対し、ワスプの武装はニードルガン一丁のみだ。しかも主装備たる無人機軍団が、おおよそレベリオンに対しては有効打になりえず、あるいは撃墜されてしまっているために、ワスプには決定力が欠けている。

 

 もう一つは、ワスプが戦いに消極的であることだ。ワスプとしては、このまま時間が経てば天の光が全てを焼き払ってくれるのを待っていればいいので、わざわざ遊馬と戦う必要性が薄いため、基本的に『逃げ腰』である。対して遊馬は戦うこと、ひいては生き残ることに必死であるため、無我夢中で、いわば『背水の陣』の状態にある。その気迫の差が地力の差を、雀の涙ほどのほんのわずかに埋めている。

 

 「待ちやがれぇ!」

 

 さらに付け加えると、遊馬のテンションも変化していた。命の危険に晒され続けた結果、どんなに危険な行為でも、なんの躊躇もなく決断できるほどに鈍感化、危険に身を置くスリルに感覚がマヒを起こし始めていた。

 

 (これがシェリルの言ってたスリル・・・。)

 

 今なら平気で弾幕にも身を投げ出しそうだ。このままでは危険だと脳が知覚しているにもかかわらず、アクセルから手が離れない。むしろ緩めると背後から迫る『死』に追い付かれるという強迫観念すらある。

 

 ただ、感覚が鈍感化しているということは、視界も狭まっているということで、結局一利あっても百害の方が強い。

 

 「おっ?!」

 『聞け!帰艦しろ!潜水するぞ!』

 「りょ、了解!」

 

 そんな遊馬の頬をかすめるように艦砲射撃が飛んできて、ようやく正気を取り戻した。どうやらもう5分経っていたらしい。急いで帰艦する。

 

 「なっ!」

 

 その意図を理解したのか、今まで逃げ続けていたワスプが前に立ちはだかる。ニードルガンの攻撃で、遊馬の右肩のシールドを剥がされる。

 

 (どうする、このまま通してくれはなさそうだけど・・・。)

 

 急に頭が冷めると、額から汗を垂らして背筋に寒気が走る。相手が殺る気になったということは、また自分が死ぬ可能性が上がったという事だ。命綱のシールドも一枚やられてしまったし、それを破壊した威力も見せつけられてしまった。

 

 だがこれ以上、時間を稼がれてしまうとネプチューンが危ない。さりとて、強行突破して無事で済ませる自信もない。

 

 「ネプチューン!構わず潜水しろ!もう戻れない!」

 『よしわかった!』

 

 そういう考えに至ったのは、ネプチューンに帰艦できずの報告をした後だった。考えているとその間にもれなく死ねる。クリス司令も同じ考えだったのか、ネプチューンも一切躊躇せずに潜水を開始した。

 

 あと遊馬に出来ることと言えば、出来る限り衛星砲の範囲から逃れるために飛ぶこと。

 

 さてそうなると、先ほどまでと打って変わって途端に不利に陥る。今度は遊馬の方が逃げ回らなくてはならない。

 

 「カートリッジィ!」

 

 それも、スペックも腕前もまるっきり上の相手から生き延びねばならない。ライフルで背後を牽制しながら、バーニアを吹かして一直線に逃げる。

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