ダークリリィ:ゲーマーの僕が有名ゲームキャラたちと同じ空間に詰め込まれた件について   作:バガン

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第85話

 「・・・はっ?!」

 

 瞬間、遊馬は自分の意識が途切れていたことに気が付いた。

 

 「落ちて・・・落ちてる?!」

 

 そして今自分は自由落下に囚われていることに気が付いた。慌ててペダルを踏みこむが、バーニアが作動しない。

 

 「うそっ?!なんで!?」

 

 混乱しながらも、レバーを引いて態勢を立て直す。ガチャガチャとペダルを何回か踏みなおすと、不完全燃焼のガスのようなものが噴き出してようやく火が付く。

 

 重力の束縛から解放されてほっと一息つくが、違和感は拭いきれない。ほんの一瞬だが、どうやら自分は気を失っていたらしい。

 

 「そうだ、マイクロウェーブは?ネプチューンは?」

 

 通信機を叩いてネプチューンに連絡をとろうとするが、返ってくるのはノイズばかり。

 

 諦めて周囲を見渡してみるが、あるのはブル-だけ。海面はえらく波立っている。上空の雲には大穴が開いている。あそこからマイクロウェーブが降り注いだとみて間違いなさそうだ。

 

 おそらくマイクロ波のバーストによる、電磁パルスの影響か。気を牛っていたのも、バーニアが作動しなかったのもきっとそのせいだ。ともあれ、当面の脅威は去ったとみて間違いないだろう。

 

 「あれ・・・ゲームPODがない?」

 

 さて、違和感はもうひとつあった。パイロットスーツのポケットに入っていたゲームPODネクスがない。どこにやった?とコックピット内を見回してみると、足元に落ちているのが見えた。

 

 「よっ・・・と。あれ、壊れたかな?」

 

 手を伸ばしてなんとか拾い上げるが、スイッチを入れても電源が入らない。頑丈さに定評があるゲームPODなのに壊れてしまうなんて。

 

 というか、これじゃあ向こうの世界に行けない。修理を依頼しようにも、もう十何年も前のハードだから修理保証対象外になっているし、自力でなんとかするしかないんじゃないだろうか。空は晴れ渡っているというのに、途端に暗雲が立ち込めてきたような・・・。

 

 いや、暗くなったのは心象の問題ではない。現実として、空に黒雲がかかっている。

 

 「あっ・・・あの空の雲は、全部敵か?」

 

 その通り。それら空を埋め尽くさんとするほどの無人機軍団を先導するのは、ワスプ。その手には近接武器のレイピアを装備し、威嚇の羽音のように、高周波の不快音を響かせる。

 

 「逃げろっ。」

 

 そういえばライフルも失くしていたことに今気づいた。そうでなくても、あんな空を埋め尽くすほどの敵と戦うつもりなんてさらさらない。そうなればもう逃げるしかない。

 

 遊馬の背に覆いかぶさるように、蜂が群がっていく。

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