ダークリリィ:ゲーマーの僕が有名ゲームキャラたちと同じ空間に詰め込まれた件について 作:バガン
思いがけず、というか思わず『えっ』という声が漏れた。まさかこんな自殺のような方法で決着がついてしまうとは。昔の日本のサムライは、ハラキリなる運動をしていたそうだけど、それとは異なるだろう。
『やれやれ、死を直観させるつもりではあったけど、何も死に急ぐことはなかったろうに。』
水しぶきを浴びながら、ワスプのパイロットは1人ごちる。おそらく海に墜落したやつの機体は、五体満足もままならぬバラバラになってしまったであろう。コクピットブロックさえ無事ならそれで構わないが。
レベリオンのコクピットブロックの安全装置や生命維持装置は、とかく上等に出来ている。心配しなくてもそのうち浮かんでくるブロックを掴んで持って帰れば、それで今回のミッションはクリアになる。
『ごふっ?!』
などと、その気になっている私の下腹部・・・ワスプのボディに重たい衝撃が走る。
『なにっ・・・?!』
「あ、当たったか・・・。」
こけそうになって思わず手を突くように、海面にナイフを突き立てたら、刀身に走る超振動のせいでこんな水柱まで立った。
武器は失っていたが、殴り合いをするための手と足はまだ残っていたので、こっそりと水しぶきに紛れて突進パンチを喰らわせてやった、というわけだ。
遊馬からしてみれば、ボケッと空中に突っ立っているだけのワスプは動かない的そのものだった。
『こ、こんな偶然があってたまるか!』
「偶然出来た・・・でも、チャンスはチャンス!」
衝撃で垂れ下がったワスプの頭についた触覚を掴むと、力任せにむしる。これで無人機はコントロールを失ってくれる。
「逃げられないなら・・・このまま殴り倒す!」
高機動戦ならまだしろ、単なる殴り合いのケンカならマウントをとったほうが勝つ。空中で揉みくちゃになりながら海面に墜ちると、そのまま顔を殴りつける。
『も、モニターが死ぬ・・・!』
「ドラァッ!!」
偶然にも、海上の小さな浅瀬に墜落し、マニュピレーターが崩壊してもまだまだ殴るのをやめない。そのうちにワスプの頭部は見るも無残なほどに破壊されて、ひしゃげた内部メカが露出する。
文字通り二転三転したが、光明が見えてきた。これなら勝てるかもしれない。
しかし・・・いいや、もう何回目のそうは問屋が卸さない展開か。やはりお互いに決定打を決めかねているのが原因か、ズルズルと泥沼の戦闘が続く。
「ぐっ?!」
『オートネットか、助かった。』
無人機の群れが遊馬のまとわりつくと、ワスプから引きはがす。同じようにワスプの機体にも無人機がまとわりついていくが、その分体から染み出したナノマシン・ゼリーが、ワスプの傷をみるみる間に補修していき、失った頭部を挿げ替えるかのように一体が収まる。
「れ、レベリオンにこんな機能があるのか?!」
いや、そもそもレベリオンはアダムの肉体として作られた物。あたかも生物的のようなこの回復機能を持つことはおかしいことではないのかもしれない・・・。
『形勢逆転だな・・・今度は手加減抜きで、さっさと片づけるとする!』
「くっ・・・また動けない!」
先ほどのレイピアよりも大きいスピアを手に、ワスプが迫る。
そして。、
「ぐぁあああああ!!」
その切っ先がコックピットを貫き、中にいる遊馬の脇腹を掠めた。
「がぁああああ・・・っふぐ・・・。」
『そんなに抵抗するから、本当に殺してしまうじゃないか・・・。』
自分が作った血だまりの中で遊馬の意識は溺れて行った。