ダークリリィ:ゲーマーの僕が有名ゲームキャラたちと同じ空間に詰め込まれた件について 作:バガン
「あぁあああああああああ・・・ああああああああ!!!」
「なんだようるせえな。」
「死んだー!今完全に死んだよ僕!」
とまあ、ゲームの世界では元気にしている。工具を動かす手を止めて、トビーやモンドが遊馬の方に向き直る。
「OK、何があった?」
「ボカーンなってグサーっとやられてアバーつって・・・。」
「なるほどねー。」
さすがトビー話が速い。けど聞き終わるのも早すぎてもう作業に戻っちゃった。
「だって、現実の話ってもうボクらが手出しできる話しじゃないでしょ?」
「だからって、このまま僕が死んでとっぴんぱらりのぷうってわけにはいかないんだよ?」
「トッピング?」
「『めでたしめでたし』という意味ですわ。」
「まあめでたくはないわな。」
プレイする人間がいなくなっては、この世界もどうなるかわからない。
「そういえば、さっきはゲームPODが動かなかったんだけど、故障したのかと思ったけど。」
「多分、こっちの世界とそっちの世界の繋がり方が不安定になっているのね。」
「エルザわかるの?」
「まあね、こっちの世界は私の思いそのものだから・・・まるで私の世界が、そっちの世界から拒絶されているように感じる。」
「世界から?拒絶?」
また素っ頓狂な話が出てきたが、エルザに限っては割とフィーリングで話してるところがあるから。
カサブランカの世界と遊馬の現実が繋がったのは、現実では『バミューダ・ショック』と呼ばれている事件をきっかけとしている。そこが世界と世界をつなぐ特異点となっている。
「その特異点を繋いでいた糸がほつれて、世界の融合そのものが『なかったこと』にされようとしているのだと思う。」
「ドユコト?」
「色々考えてみた結果、ひとつの仮説が生まれた。『事象の地平線』が出来ていると考えた。」
「またわけのわからないことを・・・。」
例えるなら、柔らかいボールを二つ用意してみるとする。このボールがそれぞれの世界・宇宙を表しているとして、バミューダ・ショックによってこの二つの世界が引き寄せられあった。
二つのボールがぶつかり、その接点と接点は『平たく』なって接している。この平たい部分が『事象の地平線』であると。
「相変わらず雄二の言う事はさっぱりわからん。」
「ムゥ・・・。」
「えっとつまりね・・・。」
カサブランカの世界の終わりを彩ったのは、カサブランカのリオンフォンの一撃だった。そこから『つづき』を作ることになったのが和馬のお仕事だった。そのためにパッチワークのように不器用にくっつけ、縫い合わせられたのがこのゲーム世界だった。
「けど、このゲーム世界にアクシデントが起こった。」
「バミューダがこの世界にやってきたこと?」
「そう、事象の地平線であるブラックホールの力を伴って、宇宙の魔王がやってきた。その重力によって、遊馬の現実とカサブランカの世界が『がっちゃんこ』しちゃった。」
いわば世界同士のジャイアントインパクト。そうして二つの球がめり込み合い、いびつなままにくっついてしまった。
「・・・で、このままいくとどうなる?」
「世界の融合が進んで、そのうち一つになるんだろうと思ってたけど、そうはならないみたい。」
「どうして?」
「結果論だけど、『繋がりにくくなった』ということは、じょじょに離れて行っているかもしれないということ。」
「元の2つの世界に戻るってことか?」
「そうなればいいのだけれど・・・もし片方の世界が、『完全な球』に戻らずにどのままだったら?あるいは元の球に戻ろうとリバウンドが起こったら?」
「起こったら?」
「どうなるかわからない。」
「ズコーッ。」
「はい笑わないの。わからないから怖いんでしょう?」
んまあ確かに。どう転ぶかわからないというのは、結果が分かっているよりも怖い。今もこうしている間にも、刻一刻と事態は深刻化しているかもしれない。
要するに、この後どうなるか誰にもわからない。それこそ神にだって。『現実』を消費するというのはつまりそう言う事だ。
「・・・全部打算で作戦を立てるというのは、いちゲーマーとして正直辛いんですけど。」
「未来はわからない、なら出来る限りの準備をしておこうよ。ちょっとオーバーなぐらいがちょうどいい。」
「で、そのオーバーな準備って?」
「新兵器の導入ですわ。」
ようやく本題が見えてきた。ゲーム世界では何をやっていたのか、遊馬には見えていなかった。