ダークリリィ:ゲーマーの僕が有名ゲームキャラたちと同じ空間に詰め込まれた件について   作:バガン

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第90話

 「で、向こうで僕が死にそうになってる間、みんなはなにやってたの?というかここどこ?」

 「ふっふっふっ、見るがよい!」

 

 レンチを振るっていたトビーが、仰々しく覆いを外す。

 

 そこにあったのは、黒光りする機体。アンテナや肩の姿はカサブランカによく似ていた。

 

 ここは火星基地のドックだ。最終作戦において、アダムは追撃から逃れるために自爆したはずだったと思うが・・・。

 

 「まだ使えそうなところを探して、資材をかき集めてたんだよ。」

 「主に俺らがな。」

 「僕は機体を組むための情報を集めてたから。」

 「それもカサブランカのデータでしょう?」

 「(>ω・)」

 

 テヘペロ、とおどけるが、今こうしてレンチを振るっていたからには、トビーが組み立てを取り行っていたんだろう。

 

 「そうしてコイツは出来上がったというわけ。まだ名前も洗礼も受けてないよ。」

 「名前か・・・。」

 「カサブランカを継ぐもの、スーパーカサブランカ・・・とか。」

 「ダサい。」

 

 かといって、Mk.Ⅱの名前は、向こうの世界でもう使われている。ややこしくなるので別な名前にするべきだろう。

 

 「っていうか色も被っちゃってるよね。」

 「色、実は最初は白だったんだけど・・・。」

 「みんないろんな色を主張したせいで真っ黒になっちゃったの。」 

 

 カラスみたいな話だ。みんな勝手なんだから。

 

 「色は、アーマーチェンジが出来るようにするとか?」

 「着せ替え!いいね!アスマはアイデア担当だね。」

 「でもそのアーマーはどこに置いておくんだ?」

 「それなんだよなぁ。そもそも、向こうの世界で僕死にかけだし。こう、手元にポンと召喚できれば・・・。」

 「召喚!そういうのもあるのか!」

 「出来ますのトビー?」 

 「いや、質量保存の法則から言ってナンセンスだね。」

 「ズコーッ!」

 

 ないのか。やはり遊馬の死は逃れえぬものなのか・・・。

 

 「そりゃ人はいつか死ぬだろう。」

 「死にたくないから戦ってたんだけどなぁ・・・。」

 「いっそこっちで生きていったら?」

 「それも嫌だな・・・向こうの世界で、約束をしちゃったから。」

 「そっか・・・。」

 

 それは非常に小さな約束であるが、遊馬にとってはとても大きな意味を持っている。

 

 「なら、その願いを叶える手助けをするのは、仲間としてやることだね。」

 「ホント?」

 「未だに俺達の望みである、元の世界に帰るって願いは叶いそうにないがな。」

 「もう諦めたら?」

 「そういうわけにはいかん。」

 「ならどっちにしろ、それまでにアスマには死なれちゃ困るんじゃない?」

 「そうなるな。協力するのもやぶさかでない。」

 

 相変わらずモンドはツンデレだなぁと思いつつ。 

 

 「で、その方法って?」

 「そんな方法があるんですか先生?」

 「いきなりこっちに話を振るな。」

 「黙って聞いてれば、勝手に盛り上がってくれたけど、結局は私たち頼み?」

 

 隅でじっと親のように見守っていたエルザと雄二が、呆れたような声をあげる。

 

 「だってこの世界について一番詳しいのはエルザと雄二でしょ?」

 「だからってなんでも知ってると思わないでほしいのだけれど?」

 「ハーン、使えねえの。」

 「カッチーン。」

 「まあ落ちつけ。可能性があるとすれば、世界そのものの昇華だ。」

 「世界の昇華?」

 

 「こっちの世界なら、アイテムを使えば即回復できるわけだろう?」

 「それと同じことが現実の世界でも出来れば苦労はしない。」

 「逆に考えるんだ、世界そのものの方を作り替えてしまえばいいと。」

 「そんなことできるの?」

 「出来る。というか、今まさにそんな風になってしまっているだろう?」

 「そうか、クラックを広げて、世界の融合を進めればいいんだ!」

 「うんう・・・ん?おい待て、それじゃあ今までやってたことなんだったんだ?」

 「モンド、人は生きていくうえで多くの間違いを犯す。けどそれを背負っていくのも人生なんだよ。」

 「今まさに目を背けようとしているじゃないか。」

 

 クラックの封印を考えていたが、やるべきはその逆、クラックを広げることだった?

 

 タイムライダーの世界なら、タイムゲドンのすることだ。むしろタイムゲドンが時空犯罪を犯す旨味がわかるというか・・・。

 

 「でもモンドもタイムゲドンなら問題ないでしょ。」

 「問題あるわ!」

 

 まあ、わざわざ罪を重ねる必要はないわな。しかし、こういう時に使える台詞を遊馬は知っていた。

 

 「モンド、タイムライダーが守るのはタイムライダー法じゃなくて、人類の命と未来でしょう?」

 「そうだな。」

 「僕は人類の一部、僕の命と未来が危ぶまれている。」

 「そうか。」

 「よってこれはモンドの名誉を傷つけない、君が守るのは、法律じゃない。」

 「今度は誰のセリフだ?」

 「未来の君だよ。」

 「なら仕方ないな。」

 「よっしゃ。」

 

 交渉成立。見事な交渉術だと自分を褒めてやりたいところだ。

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