ダークリリィ:ゲーマーの僕が有名ゲームキャラたちと同じ空間に詰め込まれた件について 作:バガン
「じゃ、話題を戻そうか。どうやってこの世界を現実に昇華させる、クリアするのか。」
「目標・・・戦力の強化。」
「そう、そこで今作ってるこれが役に立つというわけだ。」
「この新機体?乗れるの?」
「もちろん!」
出来立てほやほやの黒いカサブランカ。現実世界のカサブランカMK.Ⅱとも被るけど、これさえあればどんな敵にも負けない事だろう。
「組み立てとかはプラモデルよりも簡単に出来たけど、これはまだ未完成と言っていい。一番重要なところが抜けてる。」
「一番重要なところ?」
「名前だよ。」
「名前?」
名前、名前は重要だな。いつまでもこの『黒いの』じゃ締まりがない。色や見た目がMK.Ⅱと被っている以上、もっと別な名前を付ける必要がある。
「カサブランカよりすごいんだから、スーパー・・・カサブランカとか。」
「安直すぎるわ。」
「もっと美しく・・・カサブランカ・ビューティとか。」
「響きが美しくない。」
ああでもない、こうでもない、と論議を繰り広げた結果、
「何かにあやかった名前・・・。」
「『ダークリリィ』・・・。」
「そうか、それがいい・・・。」
「ダークリリウムフォルテッシモ、とかどうですか?」
「長い。」
『ダークリリィ』の名前を戴くこととした。
「さあ、最後の仕上げだ。遊馬、ゲームPODを貸して。」
「最後?何するの?」
「本当の最終調整だ。」
「インターフェイスまわりが少しだけ欠けているのよ。」
エルザが遊馬からゲームPODネクスを受け取ると、テキパキとダークリリィのコックピットに埋め込んでいく。
「さあ、これでもういいわ。」
「あとは、アレか。」
「アレね。」
「アレ?」
「ああ、はいはいアレね。マスタードかけるとおいしいよね。」
「お前をマスタード漬けにしてやろうか?」
「それはハッピーだね。」
傷口に塩を塗り込む拷問のような何かの間違いだろうに。
「まあそれはいいとして。遊馬、これに乗って。」
「乗る?乗れるの?」
「最後のキーを嵌めるのはお前だ。」
「最後のキー?」
「私たちがこのゲーム世界をビルドしたのと同じように、アナタもこのダークリリィをビルドするの。」
「いわば、認証コードの入力だ。」
言われるがまま、ダークリリィのコックピットに乗り込み、インターフェイスの一部となったゲームPODネクスを手に取る。
「それで、何をすればいい?」
「願いを込めて。」
「お前はこの力で、何を掴み、何を創りたい?」
「・・・難しいな。」
このダークリリィの力は圧倒的だ。誇張抜きで世界最強のロボットだと言っていい。
世界を生かすも、殺すも、思うがまま。そんな大きな力を振るうという事が、どういう事を意味するのか。
少なくとも引きこもりの高校生には荷が勝ちすぎる。
「ギャルゲーのようにウハウハハーレム生活を望むことも出来る?」
「そんなくだらないこと願ったら、お前の首をねじ切ってやるからな。」
「冗談。」
ちょっと憧れなくもないが、生憎遊馬さんは純愛志向なのです。何人ものハーレムというのも、人間一人として荷が勝ちすぎる。
「例えるなら、普通に毎日ゴハンが食べられて、普通に人を愛することが出来て、普通に生きていられるような、そんな普通な世界。」
それと遊びきれないほどのゲームを。
「最後の一つは余計というか。」
「お前らしいというか。」
「でも、それでこそ遊馬さんですわ。」
どんなに強くなったって、遊馬は遊馬、個は個に過ぎない。そんな等身大の人間に、世界だのなんだのというのは大きすぎる。願いなんてちっちゃな動機で十分だ。
「さあ、今度こそいってらっしゃい。」
「新しい世代の戦士の、誕生だ。」
GAME START!!