ダークリリィ:ゲーマーの僕が有名ゲームキャラたちと同じ空間に詰め込まれた件について   作:バガン

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第92話

 「じゃ、話題を戻そうか。どうやってこの世界を現実に昇華させる、クリアするのか。」

 「目標・・・戦力の強化。」

 「そう、そこで今作ってるこれが役に立つというわけだ。」

 「この新機体?乗れるの?」

 「もちろん!」

 

 出来立てほやほやの黒いカサブランカ。現実世界のカサブランカMK.Ⅱとも被るけど、これさえあればどんな敵にも負けない事だろう。

 

 「組み立てとかはプラモデルよりも簡単に出来たけど、これはまだ未完成と言っていい。一番重要なところが抜けてる。」

 「一番重要なところ?」

 「名前だよ。」

 「名前?」

 

 名前、名前は重要だな。いつまでもこの『黒いの』じゃ締まりがない。色や見た目がMK.Ⅱと被っている以上、もっと別な名前を付ける必要がある。

 

 「カサブランカよりすごいんだから、スーパー・・・カサブランカとか。」

 「安直すぎるわ。」

 「もっと美しく・・・カサブランカ・ビューティとか。」

 「響きが美しくない。」

 

 ああでもない、こうでもない、と論議を繰り広げた結果、

 

 「何かにあやかった名前・・・。」

 「『ダークリリィ』・・・。」

 「そうか、それがいい・・・。」

 「ダークリリウムフォルテッシモ、とかどうですか?」

 「長い。」

 

 『ダークリリィ』の名前を戴くこととした。

 

 「さあ、最後の仕上げだ。遊馬、ゲームPODを貸して。」

 「最後?何するの?」

 「本当の最終調整だ。」

 「インターフェイスまわりが少しだけ欠けているのよ。」

 

 エルザが遊馬からゲームPODネクスを受け取ると、テキパキとダークリリィのコックピットに埋め込んでいく。

 

 「さあ、これでもういいわ。」

 「あとは、アレか。」

 「アレね。」

 「アレ?」

 「ああ、はいはいアレね。マスタードかけるとおいしいよね。」

 「お前をマスタード漬けにしてやろうか?」

 「それはハッピーだね。」

 

 傷口に塩を塗り込む拷問のような何かの間違いだろうに。

 

 「まあそれはいいとして。遊馬、これに乗って。」

 「乗る?乗れるの?」

 「最後のキーを嵌めるのはお前だ。」

 「最後のキー?」

 「私たちがこのゲーム世界をビルドしたのと同じように、アナタもこのダークリリィをビルドするの。」

 「いわば、認証コードの入力だ。」

 

 言われるがまま、ダークリリィのコックピットに乗り込み、インターフェイスの一部となったゲームPODネクスを手に取る。

 

 「それで、何をすればいい?」

 「願いを込めて。」

 「お前はこの力で、何を掴み、何を創りたい?」

 「・・・難しいな。」

 

 このダークリリィの力は圧倒的だ。誇張抜きで世界最強のロボットだと言っていい。

 

 世界を生かすも、殺すも、思うがまま。そんな大きな力を振るうという事が、どういう事を意味するのか。

 

 少なくとも引きこもりの高校生には荷が勝ちすぎる。

 

 「ギャルゲーのようにウハウハハーレム生活を望むことも出来る?」

 「そんなくだらないこと願ったら、お前の首をねじ切ってやるからな。」

 「冗談。」

 

 ちょっと憧れなくもないが、生憎遊馬さんは純愛志向なのです。何人ものハーレムというのも、人間一人として荷が勝ちすぎる。

 

 「例えるなら、普通に毎日ゴハンが食べられて、普通に人を愛することが出来て、普通に生きていられるような、そんな普通な世界。」

 

 それと遊びきれないほどのゲームを。 

 

 「最後の一つは余計というか。」

 「お前らしいというか。」

 「でも、それでこそ遊馬さんですわ。」

 

 どんなに強くなったって、遊馬は遊馬、個は個に過ぎない。そんな等身大の人間に、世界だのなんだのというのは大きすぎる。願いなんてちっちゃな動機で十分だ。

 

 「さあ、今度こそいってらっしゃい。」

 「新しい世代の戦士の、誕生だ。」

 

 

 GAME START!!

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