阿呆をしごいてから三日ほど、私用で練習を見ることが出来なかった。
やるべきことを書いた紙は置いていったから、きちんとこなしてくれていることだろう。
きちんとやっているかどうかは見れば分かるからみんなも手を抜いたりはしないはず。
用事も終わったため、授業が終わった後にみんながいるであろう部室へと向かえば。
「優くん! 新しいメンバーだよ!!」
そこには三年生トリオがいた。
三人は部室に入ってきた僕に気づくと少し複雑そうな表情を浮かべる。
過去にマネージャーを断られ、自分たちで始めるも挫折している。
僕としてもマネージャーを断っているわけだから気まずいところではあるが、そんなことも言っていられない。
「面識はあるけれど一応。僕は桜優。色々とあったけれど、三人がまた始めてくれて嬉しく思うよ」
またも説明が足りない千歌に代わって、曜からメールである程度のことは把握している。
そうじゃなくても知ってはいるけど、実際に見聞きすると勝手が変わってくる。
ゆっくりとしていきたいところだけれど、花火大会のライブまでそう日があるわけでもない。
九人でのパフォーマンスを魅せれるように練習していかなければ。
「とりあえず、練習しよっか」
「何がどうしてそうなった」
「とかいいつつヨハネ、準備できてるじゃん」
まあ、ヨハネだけじゃなく全員練習着に着替えているんだけど。
「そういや、花火大会で歌う曲だけど」
「……うっ」
「千歌は後でお仕置きだとして、今回に限ってはもうできてるよ」
「っへ? どういうこと?」
「ここにあるじゃん」
ホワイトボードを指でコツコツと叩く。
「今のみんなにピッタリの内容だと思うよ」
「これ、先輩たちが書いたやつずら」
「振り付けも考えてあるだろうし、集中して基礎練ができるね」
みんなの視線が僕に集まっているが、何かおかしなことを言っただろうか。
練習始めるよ、とみんなに告げて先に部室を出て屋上へと向かう。
今現在、一、二年生は練習しているから多少マシな程度。
ある程度のレベルはあるけれど、その技量はまあ、そこそこだ。
この間のこともあるし、自分たちでもきちんと把握しているだろう。
問題は三年生だが、いったい自分たちでどこまでやっていることやら。
ダイヤさんは舞踊をやっているはずだけども、スクールアイドルとしての技量は千歌たちとどっこいどっこいか。
「こりゃみっちりやっていかんとな」
なんたって彼女たちと向き合っていくって決めたんだもの。
望みを叶えてあげるべく、手を貸さないと。
正直、この女子高が廃校になっても僕の感情が揺らぐことはない。
けれども廃校になって悲しむ彼女たちを見たくないと思うぐらいにはどうにかしたい気持ちはある。
果たして僕の存在によって結末が変わるのかは分からないけれども、あがけるだけやってみようではないか。