よく手が止まって時間かかりましたけども
梨子は考えた末みんなにも打ち明け、ピアノコンクールへ出ることにしたそうで。
もう東京についているころだろう。
「さて、梨子がピアノコンクールに出るということで一つ問題が出てきたわけだが。……何だか分かるか?」
「華が無い!!!」
自信満々に手を挙げ、そのようなことを口にする千歌。
呆れた息を一つついて頭を小突く。
「あうっ。優くん、何するのさ」
「また阿呆なことを言い出したからさ。確かに梨子は美人だけど、みんなもじゃないか。美人よりも可愛いが似合う子もいるけど、ベクトルが違うだけでみんな美少女だと僕は思うよ」
「そ、そんなはっきり言われると照れちゃうね」
「曜さん。優さんはその……」
「うん。ダイヤさんが思っている通り、優くんはちょっと天然タラシなところあるよ」
「確かに昔からドキッとさせるようなこと言うよね」
「そういえば果南も優とは幼馴染なのよね?」
「まあね。最近はあまり話していなかったけど、千歌とか曜からよく話聞いてるから久しぶりって感じはしないかな」
千歌のせいで話が脱線してしまった。
間違った罰ということで髪をぐしゃぐしゃにするように頭を撫でる。
「っわ、っわ。急にどうしたの?」
「さっきの答え、まだ出てないから時間切れとして罰を」
「罰って私だけ!? みんな答えてないのに理不尽だよ!」
「安心しなよ。みんな練習きつくなるって分かっていて答えてないんだから」
「なーんだ。ならいっか」
「……千歌ちゃん。それ、千歌ちゃんも入っているずらよ」
「えっ!?」
目を合わせる前に千歌を視界から外すように体の向きを変える。
……って、また話がずれてしまった。
「ひとまず脇に置いておくとして、梨子が抜けてでた問題ってのは千歌の相手を誰が務めるのかってこと」
「あっ……そういえば……」
「千歌へのお仕置きもまた後でとして、さて、誰にする?」
そう問いかければ、みんなの視線はおのずと一人に集まっていく。
「っへ? 私?」
そうして小さいころからずっと一緒にいるからと、曜が梨子の代わりとなったのだが。
「あいたっ」
「あうっ」
二人の息は合わず、同じところでの失敗を繰り返していた。
「んー、今日の練習は終わりにしようか。これ以上やって変な癖がついても困るし」
「も、もう一回だけ! ね!」
「千歌。優の言う通り今日はここまでにしよう。気分転換したら合うかもしれないしさ」
「果南ちゃんがそういうなら……」
僕の千歌に対する扱いが雑だとか前に言っていた気がするが、千歌の僕に対する扱いも変わらないと思う。
なんてことを大人な僕は口にしない。
ただ、後で何かしらの形をもって行動するのみである。
本日の練習が終わったので各々片づけを始めていくのだが、スマホに連絡が入る。
確認すれば、頼んでいたものが手に入ったと。
「みんなに悪いけれど、予定ができたからライブを観に行けないや」
明日も昼から観なくちゃ
曜ちゃんに独占されたい