君が好き   作:不思議ちゃん

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一口ちょーだい?

「あーつーいー!」

「そりゃ、夏だもの」

「分かってるもん! でもクーラーぐらい付いてもよくない?」

「これから統廃合する学校には付かないんじゃないかしら……」

「あと、日向にいるよりは日陰のが多少マシだよ」

 

 僕たち以外に人はおらず、広々と使える図書室であるというのに、何故わざわざ日向の席に座るのだろうか。

 

「優くんの食べてるアイス、100円のじゃないよね?」

「これ、自分で買ってきたやつだからね」

「一口ちょーだい?」

「ほれ」

 

 口を開けて待つ曜へ一口分すくったスプーンを差し出す。

 普段通りに振る舞う曜に多少の引っ掛かりは覚えるが、わざわざ場をかき乱す必要もない。

 

「んー、やっぱり美味しいね」

「曜ちゃんだけずるい! 私にも頂戴!」

「ほら」

「美味しー!」

 

 増えた雛鳥にもスプーンを差し出して食べさせる。

 

「は、ハレンチですわ! お二人とも何をしているんですの!?」

「あ、優くん。私にも頂戴」

「いいよ」

「果南さん!?」

「それより、入学希望者は今どうなっているの?」

「オーケー。今、確認するわ」

「ちょっと、話は……鞠莉さん! はしたないですわよ!」

 

 僕らからテーブルの上を通ったマリーさんに意識を向けて注意をするダイヤさんだが、どこ吹く風とばかりにパソコンへパスワードを打ち込み、学校のサイトを開く。

 

 今日のダイヤさんはよく声を張っている気がする。

 その原因の一つに僕がいるのは納得いかないけど。

 

「入学希望者は〜」

「希望者は〜?」

「ゼロー!」

 

 多少の期待を抱いていたみんなは変わらぬ数字に肩を落とす。

 

「あれっ?」

「ん?」

 

 そこで図書室のドアが開き、誰かが入ってくる。

 

「三人とも、どうしたの?」

「図書室に返す本があるんだけど……みんなは練習?」

「うん! ラブライブに向けて今が大事な時だからね!」

 

 ドアを開けて入ってきた三人組の女子生徒に一度頭を下げて挨拶し、あとは引っ込んでおく。

 許可証があるとはいえ、女子校に男がいるのはあれだし。

 

 少し話をして本を返し、三人は帰っていった。

 

「そろそろ練習始めるか」

 

 これ以上長く休めばダラけてしまうし、あの三人はいいタイミングで来た。

 先に行ってストレッチをするように指示し、僕はみんなから集めたゴミを捨てに向かう。

 

「優くん」

「ん? ……んっ!?」

「んっ。……ふふっ。これで千歌ちゃんと果南ちゃんの間接キス分、上書きだね」

 

 名前を呼ばれて振り向けば、スルリと首に腕を回されてキスをされる。

 すぐに離れたが、一瞬だけヌルっと入ってきた舌の感触が酷く口の中に残っていた。

 

「渡し忘れのゴミを捨ててくるって言って抜けてきたよ」

 

 口を手で押さえて曜を見れば、ニコニコとしながら左手に持つゴミを見せてくる。

 

「私だけの優くんだもの。みんなにバレたくないよ」

 

 僕の横を通り過ぎながらそのような事を口にする。

 そしてゴミを捨て、一つ手を叩くといつもの曜へと切り替えていた。

 

 それじゃ、戻ろうか。

 そう言って先を歩く曜の背中を見つめながら、唇へと手をやる。

 

 この関係を続けるのはいけないと思いつつ、どこか嬉しいと思っている自分がいた。




サンシャインの18同人(表紙、挿絵有の小説)
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